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パナソニックと三洋電機合併合意は、金融危機、円高という「危」を「機」に変える動きであり好感を持って受け止められているようです。こういった状況でなければ、合併への根強い抵抗感や反発もあったかもしれません。
しかもロイターが記事にしているように、三洋電機吸収の対抗馬として有力と思われていたのが韓国のサムスン電子であり、急激な円高とウォン安でコストが急上昇し、サムスンが手を出すことができないタイミングでもあったという見方もあるようです。
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さて、パナソニックと三洋電機合併によってなにが変わってくるかですが、まずは企業間競争に対する見方が微妙に変化してくるだろうということです。
企業間の競争は、華々しく目立つ新商品での競争だけでなく、実は、それぞれの企業が、どの分野で事業を展開しているかという違い、つまり事業構成の違いや、事業のしくみとかスタイルの違いでも競争しているのだということにより関心が高まってくるだろうということです。

そういったどのような事業をやっているか、またどのようなしくみやスタイルで事業を展開しているかいう視点で見た場合、三洋電機吸収の対抗馬という観測もあったサムスン電子はどうなんでしょうか。今後とも快進撃を続けていくのでしょうか。

サムスン電子は、初期の頃は週末になると韓国行きのフライトは日本の技術者でいっぱいになると揶揄されたように日本の技術移転から成長してきた企業ですが、いまやその成長の勢いは凄まじく、液晶テレビで世界トップ、半導体のDRAMでも世界トップ、携帯でノキアのシェアのまだ半分に満たないとはいえ第二位で毎年二桁増を達成しています。
また、インターブランド社による世界のブランドのランキングでも、ソニーやパナソニックより上位に位置しており、すくなくとも北米では高いブランド評価も得ています。このあたりが日本とはかなり違います。

時代の潮流に乗った超優良企業という感があり、日本でもその経営力を絶賛する人もいますが、どの企業でも強味と弱みがあるものです。
そのサムソンの強味はどこにあるのでしょうか。以下の三点に集約されると思います。

設備投資で圧倒する
第1は、半導体のDRAMや液晶パネルの分野のように、ライバルを巨額の設備投資で圧倒していることです。これはかつて韓国の造船業が設備投資で世界のトップを占めるようになったのと同じ発想といえるかもしれません。

モジュール主義の開発
第2は、技術開発のスタイルが日本のメーカーとは大きく違っているということです。サムスンはそのほとんどの部品や素材を外部から調達しています。主な調達先は日本です。完成した性能の良い部品や素材を外部から調達し、モジュールを組み合わせることで、開発速度を早め、開発の柔軟性を保っています。日本の製造業が高い性能を求めて、部品まで開発するのとは対照的です。

グローバル戦略の基本としてのローカルマーケティングの徹底
第3は、グローバル展開の中で、ローカルマーケティングを徹底していることです。本当のグルーバル化とは、それぞれの消費地にマーケティング拠点をつくって、その国にあわせてローカライズしていくことだということが言われていましたが、教科書通りにやっているという感じです。
同じ液晶テレビでも、巧に北米市場向け、欧州向け、途上国向けとちょっとした製品のアレンジで、その市場にあった製品を投入するというスタイルです。外部から調達したモジュールを組み合わせていく開発スタイルだからできることではないでしょうか。

しかし、サムスンにも弱みがあります。半導体にしても、液晶にしても、携帯にしても成長市場に乗って、さらにシェアを伸ばすことで成長を続けてきたのですが、その足下を見ると弱みも浮きあがってきます。

コモディティ化にともなう価格下落
半導体DRAMの市場を引っ張ってきたのはPCですが、そのPCもどんどんコモディティ化し、価格下落に歯止めが効きません。それと連動するようにDRAMの価格は下がってきています。そもそもDRAMは半導体のなかでも付加価値の低い分野なので、市況の変化に左右されやすいということです。

円高によるコスト増
液晶も量を負う熾烈な競争でどんどん価格が下がってきました。しかもただでさえ、この分野は川上の部品や素材、さらに川下の流通は利益がでても、間に挟まれた組み立て加工では利益が出にくい構造になっており、外部からの調達率が高いサムスンは、円高、ウォン安となるとコスト増となってきます。

市場の伸びの鈍化
しかも液晶テレビがまだまだ伸びるという予測とは裏腹に、景気減速のなかで、主戦場の北米で販売に急ブレーキがかかり、さらに欧州でも対前年を割るという国もでてきたようです。サムスンはウォン安を背景に低価格攻勢でシェアを上げる動きにでているということですが、コスト増を抱えながらの低価格攻勢では、利益を圧迫するのではないかという懸念も抱えています。利益を落とすと、設備投資で圧倒するということも困難になってきます。
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液晶分野では、シャープやパナソニックは海外で高級品市場に特化し始め、ソニーは低価格と高級品市場の二股路線を負っているといわれていますが、もし、携帯や液晶が先進国で成熟してくると、量の追求から付加価値追求に路線転換も迫られてくるのではないでしょうか。そのような分野でもサムスンは強味を発揮できるのかということになってきます。
あるいは、量で他社を凌駕する成長を保とうとすると、残されているのは、さらに価格の安い途上国ということになります。携帯は日本ではすでにハードの出荷台数が落ちてきましたが、北米は2〜3年遅れで日本と同じようなサイクルに入る分野が多く、携帯もそうだとすると、北米でも量的に成長し続けるというわけにはいかなくなります。

今後のことは神のみぞ知るということでしょうが、強いサムスンにもアキレス腱はあったということになるかもしれません。

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