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マーケティングの世界にいると、身の回りで起こっている超ミクロの現象が気になるものです。郵政民営化で変わったと言えば、シンボルデザインが、伝統があり、優れたシンボルとされていた〒マークから、クルクルパーを表現したとしか見えないマークの展開が中心となり、民営化は低IQ化をはかったものかと思っていたら、どんどんオフィスにやってくる担当者のマナーが酷くなってきて、とんでもない質の低下が進行しているのじゃないかと感じる今日この頃です。

そういえば郵政民営化されるかもしれないという危機感が高まっていたころに、突然サービスが向上し、これはいいことだと思っていたら、民営化が決定したとたんに、手のひらを返したように担当者の態度が悪化する一方となりました。
経営の質が悪いということを象徴している現象としか思えません。顧客と接する15秒こそが経営の真価を問われる「真実の瞬間」であることを、日本郵便は学び直すべきでしょう。

郵政民営化といえば、これまた質の劣化が激しいサンデープロジェクトで、郵政民営化を進めた竹中さんが出演し、今の政府の無策を批判していました。ごもっともと思えることも主張されていましたが、間違いの根本をつくったのは、小泉・竹中ラインであり、グローバル化という名の下に、国内を犠牲にして、輸出産業を優遇するという発展途上国型の政策を推進したのですから、国内消費が落ちたのは当然です。
小泉、竹中ラインが招いた問題に何の反省もないことには驚きました。とくにドル安による円高で外需が減少したというのはマスコミと同じレベルの珍説で、経済学者としての見識を疑いたくなります。実は世界的に見れば円高どころか、円安状態であり、それが交易条件を悪化させている現状をどう考えていらっしゃるのかよくわかりませんが、輸出を左右するのは円の為替相場というよりは、現状を見れば、輸出産業の経営戦略のありかたやマーケティングの問題であるはずです。

さてそれだけ優遇されてきた輸出産業ですが、その象徴とも言えるトヨタが不振です。とくにレクサスが酷い。これも身の回りで観察できることで、車で走っていて、気がついたのは、昨年あたりから、どのレクサスの販売店にもお客さまが入っていません。これは異常だと感じていたのですが、やはり、2008年1〜6月の累計販売台数は1万5000台弱で、前年同期比では22%の減少だそうです。ヤナセのようにセールスが直接お客さまを訪問して販売していないだけに、販売店にお客さまがいないというののは話になりません。
販売不振の真相とは レクサスが失速 逆上陸作戦の誤算(1) -

これは日本市場だけではありません。北米でも、トヨタの不振、特に高級車の不振が伝えられています。大型車、高級車へのシフトを行ったところへ、北米の景気が悪化し、またガソリン価格の高騰というダブルパンチで、販売台数が落ちたのでしょう。シビックなどの小型車に重心をシフトしたホンダが販売台数を伸ばしたのとは対照的です。

レクサスに関しては、北米や日本だけでなく、中国も酷い状態だそうです。根本的なマーケティングの失敗としかいいようがありません。つまり日本の自動車産業は高級車を売るマーケティングノウハウがまだ十分じゃないということでしょうか。
レクサス一時輸入ストップ 中国政府決定の裏事情

しかし、小型車やプリウスはトヨタは、北米でも国内でも絶好調であり生産が追いついていません。トヨタ不振は、円高が原因ではなく、あきらかに小型車シフトやプリウス増産体制が遅れたという戦略的な問題です。
生産ラインを変更するという手を打ち始めたようですが、ジャストインタイムという改善的な対応はできても、大きな変化、生産ラインを変更するといった舵を切るには時間がかかってしまいます。だから経営の意思決定の質や速度が求められてきたいるということです。
まあレクサスの病は深いとしても、トヨタが小型車へ、また小型車のハイブリッド化へ生産シフトを行えば、また販売台数は増えるでしょうから、そう深刻な問題ではないのかもしれません。
それよりは問題が深刻なのは政府のほうで、この激変する経済を傍観するだけ、また漁業などへのばらまきで対処療法をやるというだけで、どのような戦略で対応しようというのか見えてきません。日本は、戦略不全のままに、時代変化にただただ押し流され、環境変化に適応できず滅びてしまった恐竜になってしまうのでしょうか。
先日、ロスチャイルド家11代のフィリップ・ド・ニコライ伯爵の講演を聴く機会がありました。日本の経済に触れ、これだけ貯蓄あるにも関わらず、国内消費が低調な状態は、海外から見て異常であり、それ故に日本市場は魅力がなく、投資しづらい状況で、国内消費を高めることが重要ではないかとおっしゃっていましたが、ほんとうにそう思います。

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