MicrosoftがYahoo!の買収を断念したというニュースは、もっと長引くと思っていただけに思わず目を疑いました。
今思うと、Microsoftにとっては誤算につぐ誤算で終わってしまった買収劇だったのではないでしょうか。
Yahoo!の強い反発、さらにYahoo!が買収を避けるためにGoggleとの提携に走ったこと、なによりも世論を味方につけることができなかったことなど、いろいろありましたが、最後はYahoo!が好決算をだし、Microsoftが欧州での制裁金支払い減益の決算をだしたことがだめ押しになったのかもしれません。
Microsoftは、PCやサーバーのOSとアプリケーションでは、欠かせない存在であることは間違いありませんが、しかし、インターネットの利用に比重が移れるにつれ、存在感がすこしづつ希薄になってきたように感じます。
自分自身のPC環境という点でも、今使っているPCに入っているマイクロソフト製品は、ついにOSのWindowsXPだけとなってしまいました。
インターネットエクスプローラ(IE)は、IE7の使い勝手をチェックするために使った後はアンインストールしてしまい、たまにFirefoxでIEタブの機能をつかってIEのエンジンを利用するだけです。
オフィス製品のワードとか、エクセル、パワーポイントも、互換性のあるOpenOffice.orgを使っていて、普通の利用ではなんの不便さも感じません。企業亜ITの経費削減を狙うなら、まずOpenOffice.orgを導入効果は高いかもしれません。
ネットではMSNも、WindowsLiveを試していたのですが、なにか使い勝手が悪く、やがていつのまにか利用が途絶え、ニュース記事を見る以外は開かなくなりました。かつては、PCを使うためにはマイクロソフトが絶対必要な存在であったのが、いつの間にか、じわじわと縁遠い存在となってきていますう。
残るのはOSのWindowsですが、OSそのものは、安定して動いていてくれれば、それ以上の機能は必要ないので、Windows2000以降は安定性が高くなったため、もう新しい製品がでることは逆に迷惑な話だと感じるようになってきています。
使い方がかなり変わってしまったVISTAは、別にOSを使いこなすことにはなんの価値観も持っていないのでXPで十分です。
現在Linuxは、まだまだWindowsのように誰もが使えるという代物ではなく、利用目的が限られていますが、Linuxのディストリビューション(製品)のひとつであるUbuntuは、新しいバージョンはWindowsと同じように誰もが使える操作性をもっているそうです。そうなると利用の仕方によってはWindowsも必要なくなってくるかもしれません。
2000年にASPサービスでSFAアプリケーションを提供し始めたころは、いくらご説明してもネット経由ではセキュリティが心配だという声が圧倒的で、サービスを始めたのが早すぎたかと打ちのめされた経験がありますが、いまやそれも当たり前のようになってきたどころか、さらに発展してITの主戦場となってきそうな勢いです。
その主戦場ではMicrosoftの影はさらに薄くなってきています。Microsoftは、PCやサーバーが主役という時代のパラダイムから抜けだせないのかもしれません。
というか、Microsoftのネットでの遅れは、技術的な問題ではなく経営がやはりOSのビジネス、オフィス製品のビジネスからの収益に集中していて、ネット戦略が中途半端に終わってしまっていることではないかと思えてなりません。
Yahoo!を買収するのではなく、思い切って、求められる企業文化が違うOS事業と、ネットやゲーム事業とに企業を分割したほうがいい結果になるのかもしれません。
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たしかにMicrosoftのビジネスモデルの将来性については疑問符が残りますよね。Yahoo!が強気を押し通したのもその「Microsoftの方がYahoo!を必要としている」という点に尽きるのかもしれません。もちろん企業文化や好き嫌いという点では当然「嫌い」なのでしょうが、お金だけでは統合に魅力を感じさせられないMicosoftの弱みは否定できないと私も思います。
そういう点では大西さんがおっしゃるようにOS事業とネット事業の分離独立は正しい選択だと思いました。