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産経新聞は、5月2日の主張で「橋下府知事行革 波風恐れず再建の道示せ」で、「一部事業の復活や削減幅の縮小があった場合は、知事の丁寧な説明が求められる」という社説を掲げ、改革を徹底すべきだという姿勢を鮮明に打ち出していました。大阪府民の意識とも一致していると思います。
【主張】橋下府知事行革 波風恐れず再建の道示せ

ところが、今日の一面トップ記事を見て、驚いてしまいました。大阪版では見出しが「給与削減1人15%必要」で、ネットでは「橋下知事改革PTの人件費削減構想、実質は不可能」となっていますが、記事内容はネットの記事タイトルそのものというものでした。
橋下知事改革PTの人件費削減構想、実質は不可能

総論賛成だが、各論では口を挟むということでしょうか。玉虫色を決め込もうというのでしょうか。

というよりも、取材先に偏りがあると思えてならないのです。たとえば専門家も「10%以上のカットは現実的には無理」とありますが、どのような分野の専門家なのかわかりません。手元にデータはありませんが、記憶の範囲では、企業経営では倒産などの経営危機に陥ったときに、「10%以上のカット」というのは決して珍しいことではありません。
さらに、京都女子大現代社会学部の橋本行史教授(自治体経営)の指摘として、「10%以上カットすれば、住宅ローンなども抱えて生活している職員にとって相当厳しい状況となる。府の財政をかなり危機的だととらえても、15%カットなどというのは現実的に無理がある数字ではないか」を紹介していますが、どんな根拠があるのかよくわからないし、しかもこの教授は地方財政が専門であって、財務や労働問題の専門家でもなく、あたかも専門家の見方だと感じさせる記事は、なにか裏に意図があるのかと思ってしまいます。
確かに大阪府の職員の給与は、総務省データによると国家公務員よりはやや低めとなっていますが、もともとが国家公務員の給与水準が高すぎるのであり、中小企業などとの給与比較も行ってから、その給与削減が現実的か、非現実的か示してほしいところです。

さらに「一方府人事課によると、人件費削減の手段の一つである職員数そのものの削減も、状況は厳しい」とあり、そのなかで11年度に新規採用をゼロにしたために、9年経ってこの世代が抜けていることが府庁の組織内にひずみをもたらしていることを紹介しています。
それを言い出したら、もちろんバランスのとれた年齢構成を維持することは理想でしょうが、実際には、経済や社会の変化、また業績の変化の影響を受けざるをえないのが企業であり、そんな理想的なバランスが保てるほうが奇跡的じゃないかと反発したくなります。

産経は、わざわざ一面にこの記事を掲げ、なにを主張したいのでしょうか。5月2日の主張の勢いはどこに言ってしまったのでしょうか。総論で煽っておいて各論で突き放すというのも、記事の質についてもが問われる内容であったと思います。

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【今日の一枚】まるで真夏のように暑い連休。お祭りの子供たちも、涼をもとめて水をかけあいです。

まつり