道路族と財務省、国土交通省の言いなりとしか思えない、また世論とはかけ離れた道路特定財源の維持を押し通そうとしていた福田総理も、ついに高まる世論の反発と民主党の強硬な姿勢に押されたかたちで09年度からの一般財源化を踏くめた譲歩案を発表されていました。なぜもっと早く決断できなかったのかという思いでニュースを見ました。
しかし、おひとりでの会見とは寂しい限りで、これが今の官邸の実態を物語っているように感じます。もはやチームは存在しなく、自民党の中も分裂しており、やはり早期解散して民意を問うことが、政治の安定化をはかるためにも必要かと痛感します。

ところで、福田総理の会見に対してはマスコミ各社が、まるで大政翼賛会のように一斉に民主党に妥協をするように主張をしたことのほうにむしろ驚きを感じました。もちろん民主党がこの福田総理の妥協案から、さらに主張を通していくという選択もあるとは思いますが、なにかマスコミが、目先しか見ず、事なかれ主義に走っているように感じます。
この道路特定財源問題で発覚したのは、いかに道路特定財源が国土交通省と道路族の利権に消えていっているかということです。消えた年金問題と同じか、それ以上かもしれません。この問題にメスをいれること、つまり、一般財源化だけでなく、こういった無駄づかい、というか税金の詐取ともいえるメカニズム、つまりは公務員制度の改革もセットでなければ、原則もなにもなく、ただただ無難に物事が収まればいいということになってしまいます。しかし公務員制度改革は福田内閣になっていつのまにか先送りというか、どんどん後退していっています。

さらに、諸外国と比較してガソリンに対する税が日本は決して高くないから、一般財源化すれば暫定税率を延長してもよいのではないかという主張もあるようですが、ガソリンにかかる税が高くないというのは事実としても、一方で、先進国のなかで輸出だけに頼り、国内経済が不調という国も珍しく、経済事情はまったく違っています。

景気の先行きの不透明感が増してきたなかで、政府ができることのなかに減税がありますが、法人税を諸外国並みに下げ企業活力を引き出すという考え方と、消費の活力を導くための減税を行うという考え方がありますが、途上国と同じような輸出頼みという不安定な経済の構造で、国内消費が不振だという日本の特殊な状況を考えると、暫定税率延長をやめて、ガソリンを値下げし、国内産業の救済と、消費を下支えするというのも現実的な選択だと思えます。

財源確保よりも大切なことは、日本の政治への信頼が揺らぎ、日本売りがどんどん進んで株安を加速化させ、さらにデフレの圧力が残っているなかで、コストインフレが進むというきわめて危うい状態に陥った経済をどう立て直すかということではないでしょうか。忘れてはならないのは、財政問題も、経済が安定的な成長をしてこそ立て直しも可能であり、経済が悪化するとますます財政の立て直しも困難になってくるということです。

そのためにはまずは世界に向けて、日本の経済をどうするのかという強いメッセージをもった政策を打ち出すこと、さらに腐敗し、改革に抵抗する官僚とそれに結びついた政治家が闇で税金を浪費し続けるメカニズムを断つということではないかということだと思えてなりません。もっと言うなら政治がビジョンを持てず迷走していては話になりません。

まあ、人間のすることですから、絶対に正しいということはないにしても、いま必要なのは目先の混乱を避けるために安易な妥協をすることではなく、日本はこう改革していくという強いビジョンを持つことでしょうから、ガソリンを巡る特定財源問題は、それを廃止して日本の国内消費をあげていく政策として打ち出していくといういいチャンスではないでしょうか。
福田総理の孤独な会見で、ボールは民主党に投げ込まれた形となりましたが、さあ、民主党はどうするのか、しっかり見させてもらいましょう。とことん議論していただきたいものです。

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