大正時代に創刊された老舗(しにせ)女性誌「主婦の友」が6月号で休刊になるそうです。ひとつには雑誌というメディアそのものが、日本では1997年にピークを迎え、その後は下降線を辿り続け、厳しい冬の時代を迎えてきているということがあると思います。
特に週刊誌は惨憺たる状況で、なんとか発行部数を増やそうと激しいスクープ合戦が繰り広げられるようになったものの発行部数下落に歯止めが効かない状態のようです。
>>週刊誌「底なしの凋落」FACTA ONLINE
>>スクープ連発でも部数減 週刊誌は死にかけているのか

昨年、小飼弾さんの「404 Blog Not Found」で、「雑誌は売れないのか売らないのか」のエントリーがありましたが、日本の雑誌の発行部数が下降線を辿っているのと比べ、アメリカの雑誌発行部数は横ばい状態を保っており、定期購読による雑誌の大幅値引きとか、メール便での配布とか、ビジネスモデルのイノベーションを行えば、まだ生き延びる余地はあるのではないかということを指摘されていました。その通りだと思います。
>>雑誌は売れないのか売らないのか
そういう意味ではFACTA ON LINEなんかネットと連携した新しい雑誌のありかたにチャレンジしていますが、購読すると内容が深くて結構面白く、オススメします。

さて、その「主婦の友」ですが、女性マーケッターブログ「日々是マーケティング」さんが、「主婦の友」休刊の背景には、主婦のライフスタイルや意識の変化があると指摘されていますが、その通りだと思います。
ちょっと引用にになってしまいますが、さすがに女性らしい視点で分かりやすくそのことを書いていらっしゃいます。
>>女性の意識変化の現れ-主婦の友休刊-
3〇年ほど前の平均的主婦像というのは、「家庭で家事をシッカリし、子供のおやつを手作りし、夕方になれば近くの商店街や生鮮スーパーなどで夕飯の買い物、もちろん出来合いのお惣菜には頼らない、手作りメニューが食卓に並ぶ」という、まるでお年を召した国会議員の方々が「平均的」だと今でも思い込んでいそうな、主婦像だ。
拙ブログにこられる方の多くは、このような主婦生活を知っている方はまずいらっしゃらないだろう。
パートに出ている、幼稚園などのママ友と一緒に時々ランチ、アートフラワーなど自分のお稽古事と子供のお稽古事に熱心な主婦など、主婦の生活そのものが「平均的」という括りができなくなっている。
何より、主婦そのものが「家庭も大事だけど、自分も大事」、「自分が輝いていないと、家庭も楽しくない」という、生活指向に変化している。
ただ「日々是マーケティング」さんが、創刊以来一貫してスタイルを守っている「主婦向け雑誌」として「暮らしの手帖」あると書かれていますが、それはどうでしょうか、ちょっと疑問です。
信じられないことかもしれませんが、私自身は小学校の頃から「暮らしの手帖」を愛読し、学校の事業よりは「暮らしの手帖」で育ったという珍しい人種なのですが、あのころのはまだ製品の耐久性や品質評価ということが多くの人びとの関心事で、そのニーズに応えていたように感じます。しかし、やがてそんなことは当たり前となり、人びとの選択基準がもっと高度になりはじめたころから「暮らしの手帖」は迷走しはじめ、興味を惹く記事もなくなり購読をやめてしまいました。
さらにもっとガッカリした出来事がありました、二三年前でしょうか、ある企業の依頼だったのでしょうか、科学的根拠もなく、あれは危ないといった記事を特集し、それをガス販売店がポストに投げ込んでいったのです。記事部分の刷り増しでしたから、企業が勝手にやったとは思えません。そのときに、もう「暮らしの手帖」は終わったと思いました。
むしろ、花森安治さんというシンボルを亡くし、創刊以来一貫してスタイルを守ってきたといよりは、時代の変化があったにもかかわららず、変化できなかったのじゃないかって気がしてないません。

バナー←お気づきの方はこちらの応援クリックお願いいたします