仮想世界「セカンドライフ」は、一般紙をも巻き込んだフィーバーが昨年ありましたが、それも落ち着くところに落ち着いた感があります。
会員が増えているといったところで、試しにやってみたというユーザーが多く、同時接続数は全世界で3万人から5万人という水準も、行ってみたけれど誰も人がいないという状況は大きくは変化していません。
しょせん実験的な小さなコップのなかの世界であり、好きな人たちが集まって楽しんでおり、それはそれでそっとしておいてあげれいいのだと思います。仮想世界が一般に広がるためには、技術的にも、コンセプトとして、そのしくみももっと大きな革新が必要だということでしょう。
日本語版が昨年リリースされ、さらに天下の電通が取り組み、普及を狙ったのですが、その後のニュースを見ても、参入企業はそう多くはありません。ミクシィやIT企業が、リクルート手段に使って、ITがどの程度こなせるかを見る関門としては理解できますが、訪問者が少なすぎ、プロモーションとしては効率が悪すぎます。
セカンドライフに出店したというパブリシティ効果が期待できたのですが、それもセカンドライフ・フィーバーが冷めるとともにすっかり落ちてしまいました。
さて、セカンドライフには、仮想世界のリンデンドル(L$)という通貨が実際の米ドルとの交換レートもあり売買できるということから、さまざまなお金儲けを目的とした怪しげなビジネスも登場してきます。
こんなに儲けた人がいるという切り口は詐欺の常套手段で使われているわけですが、そこに高利を売り物とした銀行が登場し、預けた仮想世界の通貨リンデンドル(L$)を返さないというトラブルも当然起こってきます。セカンドライフを運営するリンデンラボ社がそんな銀行を強制閉鎖させ、セカンドライフの秩序と健全性をたもつために規制を強化したことは当然であり、特に驚く事件ではありません。
>>リンデンラボ、「セカンドライフ」の金融機関に規制強化

それよりはるかに驚いたのは、そんな小さなコップの中の嵐といえる事件を讀賣新聞が、小さなコラムではく、なんと堂々と社説で取り上げたのです。
>>仮想世界 あいまい化する「現実」との境界(2月7日付・読売社説)

この社説内容を見ると、書いたご本人がほとんどインターネットのことを知らず、適当に記事を集めて書いたか、あるいは別の意図があって、インターネットのことをあまり知らない読者になんらかの先入観を植え付けようとしたかのいずれかではないかと疑ってしまいます。この社説はこう締めくくっています。
仮想世界が現実に国内経済に影響を及ぼしたり、性犯罪の温床となったりする場合には、法的規制も求められよう。
さあ、皆さまはどう判断されますか。もっと重要な問題がいろいろあるなかで、あえてセカンドライフについて、また法的規制の必要性を匂わせた意図ってなんなんでしょうか。渡辺主筆が頭に描く讀賣の仮想敵国はインターネットに移ってきたということでしょうか。

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