大阪府が財政破綻隠しをやっていたという記事が年末にあり、本来は大騒動になるところが、ブログ「日本国財政破綻Safety Net」さんもご指摘のように、年末年始となり、府庁に取材できるわけでなくテレビが取り上げることができなかったので、静かでしたが、さて来週あたりからどういう展開になるのでしょうか。

まあ、残念なことに「アホヤネン、大阪」といいたくなるぐらい府民も政治にも関心がなく、当然知事の質も低く、わいせつ行為で逮捕されるようなお笑いタレントが選らばれたり、大阪市長選で民主党の平松さんが当選したときに、ワケもなく万歳していたような人が選ばれてきたわけですから、政治がダメなのはしかたないのかもしれません。失業率も全国平均より高く、青テントが今や大阪の名物となってしまいました。

大阪破産 Osaka Bankrupts (光文社ペーパーバックス)

大阪府が財政破綻寸前であったのは以前から分かっていたことですが、04年度以降、府債(借金)の返済を一部先送りして3年間で総額約2600億円の資金を捻出(ねんしゅつ)し、財政赤字を実態より少なく見せかけ、破綻隠しをしていたことが発覚しました。人員削減とかやっていましたが焼け石に水の状態なのでしょうか。

さて、大阪が財政破綻した原因は、まずは都市再生と銘打って、各地方にどんどん箱物を造らせ借金を背負わせた国政の失敗が今あり、ずしんと響いてきているということです。さらに大阪府は、経済が沈下して税収が長期的に減ってきたにも関わらず、巨額の債権を発行して、国政の失敗の輪をかけたように関空や都市開発など、ゼネコン救済型で経済再生に繋がらない大型プロジェクトを乱発してきたことで、さらに傷を広げてしまいました。つまりオーバーランの度合いが他の地方よりも大きかったということであり、それも関西経済再生のためといえば、歯止めが効かなかったことにあると思います。

常識で考えて、最初から神戸空港あたりに国際空港を造っておけばよかったし、あんな辺鄙なところに、わざわざコストのかかる埋め立て方式を採用して、未だにどんどん地盤が沈下してしまっている関空ですが、昨年第二滑走路が完成しました。成田よりは大きくなったとはいえ、それでもアジアのハブ空港からすると見劣りがします。これも航空行政の不在、つまり国政の失敗ということと、大阪府の失敗が重なっています。しかも空港だけに止めておけば傷はまだましだってでしょうが、とんでもない田舎に、りんくうタウンという箱を造ってしまったのもオーバーランでした。

空港よりもっと酷い開発もやっています。産業が活性化しておらずニーズもないのに、宅地を造るだけならともかく、5キロを超えるトンネル掘らせた頭脳は小学生以下というしかありません。

大阪の経済がダメになったのは、根本は古い産業を抱え、成長産業に乏しいという産業構造に問題があることと、大阪がかつては日本の商業の集積地というポジションを握っていましたが、今やアジアや日本のなかでのポジションを失ってしまった、つまりナンバーワンの集積地として誇るものがないことにあるにもかかわらず、産業構造の大胆な転換を促すビジョンを未だに持てていないのが現実です。

地方行政にも競争優位を造り出すというマーケティング発想が必要なのですが、残念ながら投資すればなんとかなるという高度成長期型の発想から抜け出せないなかったのが大阪です。大阪府規模になると、財政破綻の社会的な影響も大きく、夕張と同じような処理を行うことも難しいかもしれず、どうするのでしょうか。そんなことが発覚したさなかの知事選ですが、誰が貧乏くじを引くかという選挙になりそうです。

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