今年は不二家から始まり、白い恋人、赤福、船場吉兆など、食品偽装によって多くのブランドが傷つきました。一連の事件は、いかにブランドが重要であるかということを再認識させたとともに、信頼を裏切るようなことを行うと、一瞬にしてブランドの価値が崩壊するということをまざまざと見せつけたように感じます。
老舗は暖簾を守ることが経営の中心軸にあったからこそ、日本は海外とは比較にならないほど多くの老舗ブランドが生き続けてきました。ブランドが最も大切な企業資産であり、ブランドを守ることが経営の柱のはずだったものが、油断があったのか、いつのまにか短期的な利益をあげることを優先してしまったということでしょう。

さて、賞味期限や消費期限の改ざんもよくないことですが、比内鶏や但馬牛などの材料の偽装は、中国などの偽ブランド問題と同じですね。たまに、消費者がブランドを求めすぎるからこういう問題が起こってくるという意見がありますが、偽装したほうに問題があるのにちょっと理解に苦しみます。中国などでのブランド品の偽装が起こるのは、ブランド品を買う人がいるからだというのと同じことです。
なぜ食品がブランド化してはいけないのでしょうか。食品のブランドは味の問題だけではなく、食品の生産のプロセスの保証の役割も果たします。どういう栽培方法、また育て方がされたか、どういう加工や調理がなされたかなどをいちいち確かめるわけにいかないから、ブランド化されていたほうが選びやすいし安心もできます。ブランドが揺らぐとなにを信頼して選択すればいいのかわからなってしまいますね。

食品偽装ではこんな奇妙な事件もありました。丸亀市で業者が給食用に、オーストラリアの牛肉を和牛と偽って納入したということで業者が逮捕されたという事件です。
これなんかは、もともとBSE対策で給食で使う牛肉は和牛に決めたというほうが変なのです。日本では
BSEが発生していますが、オーストラリアではBSEが発生しておらず、普通に考えると和牛よりも安全かもしれないのに、なぜBSEが発生していない国の牛肉が排除されたのかこそ問われなければならない問題でした。
偽装牛肉を納入した精肉店主らが逮捕されたのを受け、同市教委は1日、市役所で会見を開いた。岩根新太郎教育長は乾いた声で「許し難い反社会的行為だ」と語り、子どもたちの食の安全を脅かした愚劣な行為に、あらためて怒りをかみしめた。
以上が四国新聞の記事ですが、読んだ人はいかにも和牛以外は安全でないと思ってしまいます。別に安全を脅かしたわけではないのに、怒りをかみしめる必要もないし、また
「子どもたちの食の安全を脅かした愚劣な行為」とデマのような記事を書いて煽った記者も記者で、食品偽装以上に怖いことだと思ってしまいます。「偽装」で思考がストップしてしまったのでしょうか。

そして偽装なんかよりもっと怖いのが、法で認められているからといって、効率を追求した極みというのでしょうか、添加物や保存料、抗生物質や成長ホルモンなどを乱用した食品や遺伝子組み換え食品のほうです。法で認められているから安心ということではありません。
食品偽装が問題としても、こちらのほうに関心を向けた方が健康のためにはいいと思いますが、せめて食品を買う際には表示を見る習慣をつけることをオススメします。

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