2003年に、サントリーが京都のお茶の老舗「福寿園」とのコラボレーションで『伊右衛門』を投入したことは衝撃的なマーケティングであり、伊藤園の「おーい お茶」とキリンの「生茶」が圧倒する市場に風穴をあけ、あっという間に二位となりました。
ブランドという視点で見ると、サントリーというブランドをもってしてもお茶の市場では優位性がなく、むしろ規模としては圧倒的小さいけれど、歴史のある老舗の暖簾を借りてはじめてブレークスルーできたことは注目に値する出来事でした。

今年に入って、その緑茶飲料でJTが春に「天晴(あっぱれ)」を発売したばかりにもかかわらず、「天晴」の販売は終了し、9月からは2年間かけて開発した「辻利」にブランドを統一するというマーケティングを展開してきました。しかしこちらは、「辻利」はアイスクリームなどでもコラボレーションをやっているので新鮮みがなく、結局は差別化というよりは、同質化して、なんとか市場に踏みとどまろうということかと感じます。

さらに登場してきたのが、コカコーラの「綾鷹」です。こちらも「伊右衛門」と同じく、宇治の老舗茶舗「上林春松本店」とのコラボレーションです。コカコーラといえば、ビジネスウィークが発表する世界のブランドランキング100で常にトップということですが、そのブランド力は緑茶飲料市場では通じません。

ブランド・パワーがおよばないので、個別の商品ブランドを全面に押し出した展開になりますが、商品によほど差別性がないと成功しないので、老舗ブランド力を借りてくるというのは正解でしょう。底のほうににごりが沈んでいて、「よく振ってからお飲みください」というのも仕掛けとなっており、差別化ができているので、こちらは本気さを感じます。

ただ、注目したいのは、この「綾鷹」は、飲みやすいのですが、残念ながらプレミアムというほどの味の差は感じないので、商品力、つまり味覚の差別化でシェアが伸びるとは考えられず、問われてくるのはブランド力やマーケティング力だということです。
ウェブのほうで、ブログGIGAZINEで紹介されていましたが、遊技(FUN)というコーナーがあり、
KAMONジェネレーターで遊べます。GIGAZINEさんのところで、福田首相とか、朝青龍とか、沢尻エリカなどのものも生成さfれており面白いですね。
>>「綾鷹」公式サイトのKAMONジェネレーターで遊んでみた

kamon
それにしても最近つくづく感じるのは、インターブランド社が調査し、ビジネスウィークが発表する世界のブランドランキングのトップ3が、コカコーラ、マイクロソフト、IBMと並ぶとランキングの意味をあまり感じません。経営評価なのかブランド評価なのかがよくわからないということです。
緑茶市場が典型でしょうが、ブランドの価値にとっては、企業規模、また知名度も重要ですが、もう一つの軸として、個性とか、歴史や伝統などのコンテンツや文化の広がりといった深さのほうの重要性がどんどん増してきているというのではないかということです。
消費の個性化が大きな時代の流れにあるということは、むしろ小さくとも光っている、あるいは深さがあるブランドが好まれるというのは当然のことなのでしょう。そういう観点からブランド戦略を見直してみると、思い切った新しい展開が生まれてきそうに思います。

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