2007年10月08日

消費者物価指数という幻に惑わされてはいけない

朝日新聞の社説が取り上げていましたが、ついにタクシーも値上げで、どんどん値上げラッシュが続き、日銀の生活意識アンケートでも、6割の人が1年前に比べて物価が上がったと答えているにもかかわらず、消費者物価指数は8月まで7カ月連続で前年同月比マイナスとう異常さです。
どう考えてもおかしいというか、実態を反映していません。なぜそうかは朝日の社説で、消費者物価指数の落とし穴として書かれていますので引用しておきます。
 下落の最大の要因は、薄型テレビやパソコン、デジタルカメラなど技術革新が速いデジタル製品の指数が、1年前より2〜3割下がっていることだ。製品の性能が向上すると「価格下落」とされることがあるのだ。たとえば、性能が2倍となったパソコンの新製品が旧製品と同じ10万円で売られたら、指数では半分の5万円へ下落とみなされる。 とはいっても、性能向上が指数計算のように家計の負担を軽くしてくれるとは限らない。たまに買うパソコンの値下がりの恩恵よりも、日常的に買う食品や生活用品の値上がりの影響の方が、多くの家計にとって重いだろう。低所得の世帯ほど日用品の負担は大きい。
また「
生活用品次々値上がり…物価指数はマイナス 庶民感覚と統計にズレ」というFujiSankei Business i の記事も参考になります。

これまでも生活や企業を圧迫するコストインフレが始まってきたことを取り上げてきましたが、この物価高は、原油高、エタノール燃料生産に向いているトウモロコシの高騰、トウモロコシへの転作で作付けが減った小麦や大豆の高騰、さらに世界のマネーがこういった先物市場に向かってきたことによる価格の高騰、鶏、豚、牛などの飼料の高騰による値上げといった連鎖だけではありません。
橋名板が盗まれる、資材置き場で鋼板が盗まれる、道路脇の排水路の金属の蓋が盗まれるなど金属盗難が相次いでいるように、アジアでの需要が高まり、さまざまな資源価格も高騰してきています。

この新たな構造的な問題から生まれるコストインフレについて、マスコミや政治がもっと真剣に議論すべきと思うのですが、どうも生活者物価指数という幻の数字で現実を考えてしまっているせいか感度が鈍いですね。

景気が良いと言っても、大企業の決算やボーナスの話は、普通の会社や庶民には関係のない話で、全国平均では9年連続して所得が下がってきました。さらにそこに生活費負担が重くのしかかってくるのだから、国内市場はさらに冷え込みます。そんな状態の中で、いくらトヨタが新たな提案しても、新車需要が回復するわけがありません。そもそも国内市場を冷やすような企業税制優遇の政策を支持してきたのだからしかたないでしょう。

>>自動車各社、新ジャンル車で消費刺激・トヨタやスズキなど

先日「国民生活の安定」を最優先に掲げる福田新内閣になって始めての経済財政諮問会議が開かれましたが、この新たな日本経済のリスクについて取り上げているのでしょうか。

竹中さんは、景気の立て直しを企業からとして、大企業優遇政策をとり、やがてそれが人々の豊かさにも波及し、好景気が実感できるようになるという楽観論にたっていたようですが、エコノミストが頭の中で描いた幻想に終わったということでしょう。総裁選には敗れましたが、麻生さんがあからさまに批判したのも当然のことだと思います。

重要なことは今や大企業の多くは、売り上げのほとんどが海外で稼いでおり、日本はひとつのローカル市場に過ぎませんが、多くの企業や国民にとっては日本の経済がすべてだということです。
大企業の影響が大きい経団連と国民の間に微妙な意識のずれが起こっても当然であり、どちらが正しいかということでなく、政治がどこに足場を置くかで政策は大きく違ってくるということです。
もうそろそろ、国内、中小企業、国民に目を向けなおさないと、国内がさらに疲弊し、政治がどんどん国民の意識から遠ざかってしまいかねない時代になってきたように思えてなりません。

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kinkiboy at 11:59 │Comments(7)TrackBack(3)clip!政治 

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この記事へのコメント

1. Posted by みやこきらい    2007年10月08日 22:49
(1)2007年02月17日 Posted by 「みやこきらい」のコメントで 最近250円の安売り弁当チエンが、数を増やしている・・、そして低価格、大量販売という、商法は、消費者にとってあり難いが、関連業界にとっては、迷惑な行為であろう・・
http://app.blog.livedoor.jp/kinkiboy/tb.cgi/50290259等々と批判しましたが。
旧聞になりますが、帝国データーバンクの「倒産・動向記事」2007/08/30(木)により「びっくりラーメン180円」で有名な「ラーメン一番」が民事再生法の適用を申請した
http://app.blog.livedoor.jp/kinkiboy/tb.cgi/50290259事を最近知り、「安売り商法」の危ふさを、再確認しましたので再び筆を取っています。

2. Posted by みやこきらい    2007年10月08日 22:50
(2)勿論弁当は「持ち帰り」という事で、数をさばくことが出来、かなりの売り上げが見込め、利益も出やすいとは思いますが、危惧は先のコメントに書いたとおりである。

経営の神様小林一三氏は「我々の社会生活といふものは、自分さへ儲かれば他はどうなってもよいといふ物ではない。自由競争を基礎とする営利主義経済の組織に於ては、個別的利害の対立は止むを得ないにしても、【他を冒さずに】自分の立つ道があればそれに越したことはなからう」と過度の競争を戒めている。

また商売利得の要諦は、「利益の多い物をどれだけ多く売るか」であると喝破していた。

私も十九才より商売を始め、二十代で三度倒産を経験し、露天商人から再起し、最後は飲み屋二十年をへて、隠居の今日ありですが、一三の教訓をいつも無駄にした事はありません。お陰で大した事では無いかもしれないが、残余の人生で使い切れない資産を今維持しています。

3. Posted by ななし    2007年10月09日 09:59
 おっしゃる通りで、地域コミュニティをどう活性させていくか、地域共同体を切り捨て、郊外の大型店だけ稼げばよいという発想なんですが、ところがその百貨店も経営統合したりと苦しい状態です。

 年金不安とガソリン価格高騰で住宅ローンや教育費でオップアップの家計のサイフも厳しい状態、国内の自動車販売も落ちています。

小泉時代にやった竹中の政策は大企業や役員が儲かればよい、もともと所得の高い人たちがさらに儲かる仕組みを創り、労働者側は切り捨てられていくということだと思います。規制緩和により誰でも参入できる仕組みを作ったのはいいが、逆に競争が厳しくなりセーフティネットもままならないまま、生活保護申請も増加して、地方自治体も厳しい状態くるでしょう。
4. Posted by みやこきらい    2007年10月09日 12:46
(3(誤りました)・・前文の民事再生法の適用を申請した 以降
 「http://app.blog.livedoor.jp/kinkiboy/tb.cgi/502902  59・・事」を

 【帝国データーバンクの大型倒産速報】
 「倒産・動向記事2007/08/30(木) ラーメン店経営
  びっくりラーメン180円で有名な「ラーメン一番」経営
 株式会社ラーメン一番本部など2社
 民事再生法の適用を申請」

  に差し替えします。
5. Posted by おおた葉一郎    2007年10月09日 17:02
こんにちは、
以前、クルマのメーカーの人に「二つの財布論」というのを聞きました。
いざ、クルマを買うときには、あれこれグレードアップしたり、オプションをつけたりと5万10万と景気好く払うのに、なぜガソリンが1円、2円安いとか大騒ぎするのか、ということ。
クルマを買う財布と、ガソリンを買う財布は別、ということでした。
この消費者物価の調査品目は、この大きな財布と小さな財布が一緒になっていて、現在は大きな財布の方が安くなっていて、小さな財布の分が値上がりしているということと思います。小さな財布の方が「実感」に近いのでしょうね。
6. Posted by へなちょこ技術者    2007年10月09日 20:39
はじめまして。いつも楽しく拝読させて頂いてます。
そういえば、インフレターゲットってどこいったんでしょうね。
結局、低金利って銀行が儲かったのと円安と資金調達で製造業が一息つけたってことぐらいしか効果がありませんでしたね。
おっしゃるとおり、私達日本人は呑気ですね。日本より金利が高いアメリカですら先月の利下げの時はインフレにビビっていたのに。。。
オイルショックの時のトイレットペーパー騒動の時の方がまだまともな反応だったのかな、なんて思ってしまいます。。。生まれてませんでしたが。
7. Posted by とおりすがり    2007年10月10日 14:28
一体全体、どういう国にしたいものなんでしょうね。

勝ち馬に乗りたいでも責任はとりたくない人ばかりです。

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