日経ビジネス2007.5.14号の第二特集は、【電通が挑むメディア総力戦 「眠れる獅子」がタブーにも切り込む】 というタイトルで、電通がネット広告にも力を入れ始めているという記事内容でした。
電通の「広告記事」じゃないかとも感じましたが、いや、最近、電通総研・前社長の藤原治氏の『広告会社は変われるか』という本をちらちらと読んで、広告会社も大変ですねと思っていた矢先でありましたから、業績好調で気も緩みがちな電通マンに、もうテレビや新聞の広告スペースを売っているだけではだめなんだ、それでは売り上げアップできないぞ、時代は変わったんだ、ネットをかませばもっとテレビも売れる、そのためにAISASをキャッチフレーズに攻めろという社内向け広報だったのでしょうか。

広告会社は変われるか
―マスメディア依存体質からの脱却シナリオ


あるいは、電通総研の前社長がさきほどの本で電通はグーグルに勝てるかなどと煽ったけれど、うろたえるな、電通としては海外のネットマーケティングの会社とも提携して備えているから安心しろという通達を、日経ビジネスという外部メディアをつかってやったのかと思いましたが、どうでしょう。
ところでAISASってなんでしょう。どんどん選択的な需要が中心となり、というか、さまざまなメディアを駆使して情報を収集し、じっくり吟味して選択するという購入パターンが増加するにつれ、マス広告で提供できる情報というのはおのずと限界があり、ネットに誘導して情報を提供し、さらにそこにユーザーの擬似コミュニティ的空間をつくって共感の輪を広げようというシナリオです。それをかつてのAIDMA(注目させ、関心を持たせ、欲しいと感じさせ、記憶させ、買わせる)と対比させればわかりやすく、AISASとしたのでしょうが、さすがに電通というか、単純化すると営業としては扱いやすいと思います。
Attension(注目させ)→

Interest(関心をわかせ)→

Search(検索させ)→

Action(行動・購入させ)→

Share(共有させる)

GooのようにAttention(注意)→Interest(興味・関心)→Search(検索)→Comparison(比較)→Examination(検討)→Action(購買)→Share(情報共有)の頭文字をとった消費購買行動
「AISCEAS(アイシーズ)」とか言っちゃうと、まじめな現場サイドには評価を得ても、覚えきれなかったり、なにをサービスとして売ればいいのかがわかりづらく、さらに難しすぎて管理職層やトップにはわかってもらえないのじゃないでしょうか。両社の体質差がでていますね。
さて、電通は、メディアを売っても、メディアそのものには手を染めない、敵に回さないというタブーがありますが、そのタブーをを破ってでも、ネットの時代のビジネス機会を逃したくないという記事ですが、本当に電通はそう思っているのでしょうか。
Googleと対抗すると息巻いても、ネットの世界は拡散しているので、メディアを圧倒的に抑えているという電通の競争優位性は発揮できません。他人事ながら、マス広告とネットの連動を売りにした旧モデルをまじめにやっていくほうがいいのじゃないかと思ったりもしますが、もしEPIC2014が描くような世界がやってくると大変ですね。EPIC2014をご存じない方は、話の種にも一度ご覧いただくといいかもしれません。新聞メディアにとっては、ハルマゲドンのような話です。
>>EPIC2014(日本語字幕版)


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