近未来通信の巨額詐欺事件はどんどん被害が広がっているようです。1口約1100万円の出資金で最大で月80万円程度を還元できるという胡散臭い話に乗る人たちにも責任はあるとしても、そういった被害を広げる役割を積極的に担ってきた広告業界の責任も重いのではないかと思います。
「雑種路線でいこう」さんの「
近未來通信からの広告売上は没収して被害者救済に充てよ」、またそれを受け「H-Yamaguchi.net」さんが「返せばすむっていう問題じゃないんだが」で没収ではなくともマスメディアの公共性を考えると広告売り上げは返上するのが筋というお話がありました。またマスコミの報道番組の中では広告塔となった人たちの責任も問われるのじゃないかという指摘をしているところもありました。
しかし、なぜか広告代理店はクローズアップされてきません。広告の実務から言って、実際に近未来通信と接触してきたのは広告代理店であり、近未来通信と数限りない打ち合わせをやってきた広告代理店は、近未来通信の怪しげさは把握していたはずです。そんな実務を通して、近未来通信の事業実態を把握できないような担当者はよほどぼんくらとしか言いようがありません。そんな怪しさをわかっていながら売り上げ欲しさに突っ走り、詐欺の片棒を担いできたのではないかと疑いたくなります。
マスコミや広告に登場したタレントの人たちにも責任はあるとしても、新聞社やテレビ局は広告内容についてはチェックしますが、クライアント企業を精査し評価する機能はなく、ましてタレントさんはプロダクションまかせでしょうから、もっとも罪の重いのは広告代理店であったという気がします。
大手広告代理店は、おそらくバブルの頃からブランド化し、就職の人気ランキングでも高いポジションを得るようになってきたと思いますが、マスコミやクライアント企業の影の存在であり、あまり社会的責任を問われてきたことがありません。大手広告代理店の実態をご存知でない方が多く、また大手広告代理店に幻想を抱いている人が多いのですが、ちょっと社会的責任という観点では体質的に問題じゃないかと思うことが多いですね。
今回の近未来通信の事件だけでなく、多くの地方自治体がバブル時代に馬鹿馬鹿しいテーマパークをつくり、それが今や不良債権化し、夕張市のように財政破綻までしてしまったところもありますが、そんなテーマパークをしかける一翼を担い、質の低いテーマパークのプランを全国にばら撒いてきたのも大手広告代理店です。
地方の行政からすれば、東京から「ブランド」の広告代理店のスタッフが押し寄せてきて、見慣れない派手なプレゼンテーションを受ければ、それだけで舞い上がり、マインドコントロールされる様は手に取るように想像できます。もちろん地方の自治体が最終責任を負うべきとしても、そういった煽りをやってきた広告代理店の責任は問われていません。そういえば、やらせのタウンミーティングを最初に演出し、しかも法外な費用をとっていたのも大手広告代理店でした。
この近未来通信事件を機に広告代理店の社会的責任ということを大手の広告代理店自らが受け止め、近未来通信から得た売り上げを返上するといったことをやらない限り、「企業市民」としての資格を得るには程遠いように感じます。

クリックよろしくお願いします。

>>人気blogランキング