ブログ「時事を考える」のマルセルさんが、不思議なことに「最近日本のテレビCMが削除されていることが多い」というご指摘がありました。推測の域はでませんが、おそらく使ったタレントや製作会社との契約で、インターネットでの利用が入っていおらずく、そちらからクレームがついているのではないかと思います。
>>時事を考える「YOUTUBEから最近CMが削除されているが..」
そうだとすると、広告実務を握っている広告代理店の問題が大きいと思われます。部内のスケジュールを公にさらして、関係者から見ると、どのようなプロジェクトが進行しているのかもわかるような「情報公開」をするような業界ですから、ネットに対する知識は推して知るべしです。

さて本論です。松岡美樹さんのブログで、IT系経済誌は、「YouTube広告にはバラ色の未来がある」みたいな煽りでいっぱいだけれど、そう楽観的な話ではないだろうという趣旨のお話がありました。まったくその通りだと思います。時代は過去の延長線にあるというよりは、そこには必ず断層があるというのが世の常であり、そこには新しいクリエイティブなアプローチが求められてきます。
>>すちゃらかな日常 松岡美樹「「YouTube」を使った広告モデルは疑問でいっぱい

YouTubeのような動画共有サイトが、広告でビジネスを成立させるためには、3つのクリアしなければならない問題がまだ残っています。
第一に、松岡さんがご指摘のようにCMの作り方に新しい発想や仕掛けが必要になってきます。ネットで評判になるCMはTVCMとしても効果は高いでしょうが、TVCMで効果をあげたからといってもかならずしもそのネットで評価があがるとは限りません。TVCMは、垂れ流し状態のなかで、もともとCMなど見たくもない人たちに、どうやって気をひき、繰り返し、繰り返し見せ、聴かせて記憶させるかという世界です。
しかし、そんなCMのなかで、わざわざネットで自ら見ようというものはどれだけあるでしょうか。お寒い話です。
ネットにあうコンテンツ制作って、いくらでも方法はあるように思います。たとえば、エーベックスの勇み足というか、常識を欠くような行動から、2ちゃんねるを中心としたネットの住民の人たちの怒りをかった「のまネコ問題」を覚えていらっしゃるでしょうか。人々の怒りはかったとはいえ、曲はそのおかげでヒットしたのです。視点を変えるとコンテンツとして魅力のあるものを生み出す基盤はすでにネットの世界にはあるということです。
それになぜ着目できないのかですが、問題は制作費やTVの媒体費用が減るかもしれないネット活用に、CMのビジネスの実務を握っている既存の広告代理店が取り組む動機はなかなか生まれてこないだろうという点はあるでしょうね。さらに問題は、広告主や製作者側にネットの手触り感があるかないかですが、この点も怪しい限りです。
第二は、YouTubeをはじめとした動画配信サイトの問題です。いまだにCMに人々を誘導する仕掛けがありません。それではCMをつくったけれど、ほとんど見てもらえないというリスクが広告主側に発生します。しかし、この問題も、AdsenseやAdword広告のようなGoogleの新しい広告のビジネス・モデルが登場するまでもなく、それを仕掛けることはそう難しい問題とは思えません。
第三点目は、ネットのCMのありかたに関した実務的な研究がいまだに十分ではないことでしょう。CM製作のありかたから、それと広告効果との実証的な研究がないと広告主は動きません。「面白いのはわかった、では、どうすれば効果が期待でき、また結果としてどれぐらいの効果が見込めるのか」という疑問に対する回答が必要だろうということです。そういった結果が見えない世界にあえて飛び込む広告主が最初は必要でしょうね。
これらの壁は、しかし徐々にであれ、さまざまなカタチでチャレンジが始まっており、情報が瞬時に駆け巡る時代ですから、やがてはカタチになってくるでしょう。問題は誰が最初に成功を収めるかです。成功事例が生まれてくると、リスクに対して慎重だけれど、横並びのパワーはすさまじい日本の風土ではあっという間に広がっていくのではないでしょうか。

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