日経ビジネス・オンラインによれば、MySpaceが日本上陸を計画をしており、オペレーションを間違ったのか、MySpaceの画面が突然MySpace Japan BETAとなって日本語の表記となり、しばらくしてまた再び英語に戻ったということだそうです。

>>ミクシィ襲う1億人の黒船
myspace

しかし既に上の画像のようにVideoとかMusicのサイトに移動するためのバナーには日本語が表記されています。きっとMySpaceだって、日本からのYouTubeの利用者が非常に多いということぐらいは知っているはずで、そのあたりからでもファンを獲得していこうかということでしょうか。
また実際マイスペースの海外戦略担当の副社長が、Mixi上場4日前に1年以内に日本でMySpaceを展開するというコメントをしていると表明しており、さあそうなるとMixiはどう迎え撃つのでしょうか。
Mixiは9月現在で570万人の会員数を誇り日本一のSNSサイトで、会員を囲い込んでいる限り人数が多いほうがパワーを持つというメトカーフの法則ではるかに有利だということでしょうか。
日本ではそうだとしてもMySpaceは会員数では1億人を超えており、大きさからいえばボート対空母ぐらいの開きがあります。しかもMySpaceはアメリカでも後発で出発してトップになったという実績をもったサイトです。

SNS第2ラウンド
さあ、どうなるのでしょうか。鍵はまだまだSNSの本格的普及期はこれからで第2ラウンドはこれから始まろうとしているということではないでしょうか。
どちらが、また既存のサイトや新規参入のサイトも含めて、どこがより新しいまたより魅力あるサービスを提供し、これまでは関心のなかった人たちも利用してみたいと思うサイトを提供できるのかで覇者は決まってくるということでしょう。
どう考えても、現在のSNSというカタチで利用者がこれまでのように広がっていくとはとうてい思えません。ビジネスモデルも弱いですね。新しいカタチや姿、新しい価値、新しい発想が必要だと感じるのです。コミュニティをつくって日記を見せ合い、掲示板をやっているというだけではやがて飽きてきます。
こういったサイトでは会員数を誇らしく掲げているのですが、案外曲者で、実際に高い頻度で利用しているアクティブ・ユーザー数がどれぐらい増加しているのでしょうか。盛り上げっている人たちもいるでしょうが、少なくとも周辺の若い人たちから聞こえてくるのはSNSには飽きたとか、友達の最終ログインを見てもどんどん頻度が落ちてきているという話ばかりです。
そういう点では、MySpaceにはブログもあれば、動画サイトもあれば、音楽サイトも、フォーラムもなんでもあります。それが後発でありながら、アメリカでブレークした理由だと思いますが、きっとそのあたりはMixiもわかっているので、ニュースとか、アルバム機能、また音楽ダウンロードとかの機能を追加してきたのだと思います。
では、両社で、またそれ以外の新規参入のサイトでSNSとして競い合って力比べするのでしょうか。力比べしてそれに見合った収入は得ることができるのでしょうか。

いろいろあるというだけで魅力があるかは疑問
よくわからないのは、今や動画なら動画でYouTubeがあり、音楽ならiTuneStoreが強く、このあたりは魅力あるコンテンツがどれだけあるかで決まってきます。ブログなんかはFC2が頭ひとつ抜いているのかもしれないとしても、まあ別にどこかのサイトに集中するという必然性も弱いですね。いずれにしても、そういった各カテゴリーの巨人たちとも今後は激しい競争が始まるということでしょう。
ポータルはポータルでしのぎを削っています。Mixiであれ、MySpaceであれ、なんでもできる、なんでもそろっているということが魅力になるのかということです。
少なくとも、ライブドアにしてもYahoo!にしても楽天にしても、そういった足し算では成功していると到底思えません。それぞれが中途半端で魅力がないのです。SNSの間の競争だけではなく、カテゴリー間の競争も加わって大競争時代がやってきたときのMIxiであれ、MySpaceであれ、成長していくためには、その魅力がなになのかが問われてくるのではないかということです。
実際、Mixiの写真アルバムがあったとしても、機能的にはかなり写真SNSサイトには見落りするように、動画はGreeよりははるかにYouTubeに集まるだろうし、また音楽なら、コンテンツを集めるパワーのあるところが結局は制していき、利用者はそれぞれ使い分けていくと考えるのが自然だという気がします。

高い株価は会社を健全に育てるのだろうか
さてMixiは見事に株式公開を成功裏に収めたわけですが、CNET Japanの
「YouTube:1760億円 vs ミクシィ:2200億円--あなたならどっちを買う?」という記事が、このMixiの株価の不思議さを端的に物語っているように思えます。
あんな高値になり、時価総額で2000億円を超える企業になったわけですがこれからはどうするのかです。これまでそんな幸運を勝ち取ったネット企業の多くは、株式市場の声に応えようとして買収を繰り返して売り上げを大きくしていくというM&Aモデルを繰り返してきたわけですが、ではサイトの中身はどう進化したのかというとお寒い状態だといわざるを得ません。残念ながら足し算をしてきただけのように感じます。
まだMixiがどのような経営戦略を展開するかは見えてきませんが、すくなくともMySpaceとの競争、また新たな参入企業との間で、競争が激しくなり、本業への投資を高め、ひと皮もふた皮もむけていって欲しいですね。
MySpaceの日本への上陸は、日本のネットの世界もいよいよ国際競争が始まるということであり、日本のネット企業への刺激となって、ネットの世界をさらに発展させるいい刺激になってくれればと願うばかりです。

blogランキング「経営・マーケティング」で注目した記事
【真のキーマンを見極める】ソリューション営業の道具箱(33位)