dunn米ヒューレット・パッカード社の経営がCNET記者への情報漏えい問題とCNETの記者を違法な調査で追跡したという出来事で揺らぎ、ダン会長が責任を取って1月に辞任するという発表した矢先に、事態が収まらないということなのか、前倒しで会長職も取締役も辞任せざるをえなくなったようです。
米ヒューレット・パッカード社いえば、昨年の2月に会長兼CEOのカーリー・フィオリーナさん辞任で話題になりましたが、このフィオリーナさんの時も、コンパック買収問題にからんで創業家と株主の委任状をめぐるすさまじい争奪戦-プロキシー・ファイトが展開されていました。この争奪戦ではフィリーナ会長が勝利するのですが、その後に事実上解任されてしまったとう顛末でした。
>>HP臨時株主総会(3月19日):議決権行使・委任状取り付け競争の物凄い現場

皮肉なことに、フィオリーナ会長解任後に、フィーリーナ会長が強行したコンパック買収の効果で業績が回復し、売り上げも利益も増加してきたのですが、経営内部の軋轢は尾を引いていたようで、この取締役会の情報漏えいも内部の軋轢が引き起こしたといわれているようです。

かつては技術を誇る企業であったこと、経営が迷走していること、また価格戦略でシェアを伸ばすということ浮かんでくるのはSONYです。
SONYも液晶テレビBRAVIAで、韓国のサムスンとの合弁企業でLCDを生産し、さらにリアプロジェクション(リアプロ)方式で低価格戦略とり、米国でのシェアを大きく伸ばし業績を持ち返しました。
しかし一方では、DELLやAPPLEのPCのバッテリー発火問題を起こし、ものづくりの力が低下していることを印象付けましたが、PS3の発売の遅れについて「SONYのものづくりの力が落ちている」ということをCSEの久多良木社長が公然と発言し、経営の対立を匂わせました。
SCEはかつて出井会長時代にはSONYの救世主となりましたが、久多良木氏を取り込むことで社内に軋轢が生まれたのではないかという気がしてなりません。しかもそのSCEもPS3を発売前に2割値下げするという迷走ぶりで、雲行きが怪しくなってきました。下手をするとSONYの致命傷になる危険な香りすらします。

いずれも、経営が短期的な業績やシェア争いに目をとられすぎ、それが内部の軋轢を生んだり、大きなビジョンにむかって長期的な企業の競争力の蓄積するということに失敗しているように思えてなりません。

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