IQテストって、子供の頃にやった記憶がありますが、あまり好きではありませんでした。クイズみたいなのが並んでいて、制限時間内にたくさん解いていかないいといけない。そんなに急いでどこに行くみたいな気がしていました。しかし、昨今は脳力活性化みたいなソフトも人気があって、IQアップということに関心を持つ人は多いようですね。
その類のひとつに記憶力アップというのがありますが、電話番号とかを覚えるのが苦手で、記憶力が高まるというタイトルに惹かれて本を買ってきて、書いてあるままに面白がってやっていたことがありました。コツをつかむと、まるで手品というように記憶再生ができるようになります。
しかし、しばらくして飽きてしまいました。実生活ではなにの役にも立たず、余興のレベルを超えることができなかったように思います。トレーニングをやめるとやはり記憶力は元に戻ってしまいました。
ところで、実際の社会のなかでは、またビジネスの世界で「頭がいい」というのはどういうことでしょうか。

小説家も頭のよさはいらないそうです

仕事とは関係ない人たちと一緒に食べたり飲んだりする機会はよくあり、そのメンバーのなかにミステリー作家の高嶋哲夫さんがいらっしゃいます。高嶋さんいわく、小説を書くのに頭のよさはいらないし、小説家で成功している人たちも、頭がいいわけじゃないとのこと。まあ酒を飲んでの話なのであまりまじめに受け止めないで欲しいのですが、むしろ違う能力だということでしょう。
そういえば第3回ホラーサスペンス大賞をとった牧村泉さんもコピーライターをやっていらっしゃった頃は、一緒に仕事をしていたことがあるのですが、飲み込みはいいし、文章力もあったと思いますが、頭がいいというよりは、人として魅力があるという感じの人です。

ビジネスで「頭がいい」ってどんなことだろうか

まず思い浮かべるのは人が気がつかないアイデアに気づく人でしょうか。しかもなるほどと感心するビジネスモデルとかマーケティングを考えついた人は頭がいいと思いますが、難しいパズルを解くというのとは違う話です。着眼点がいいのです。
きちんと物事の筋道をたてて外さない人も頭のよさを感じます。頭の中にしっかりゴールを浮かべ、さまざまな変化があっても、そのゴールに向かう道筋の判断ができる人です。
相手の人の話を理解する能力が高く、質問上手な人も頭がいいと思います。いい質問は、話している人からさらに深い考え方とかものの見方などを引き出せます。
きっとあの人は頭がいいなあと感じるシーンってもっとあると思いますが、どれもIQ的な頭のよさではありません。いくらクイズみたいなことをやっても、こういった頭のよさは磨くことができません。きっと普段から意識して考えるクセをつけるように心がけていれば能力を磨くことができるものばかりのような気がします。
ビジネスの世界で成功した人たちでも、とくにIQ的に頭がいいという印象の人もめったにお目にかかりません。IQ的に頭がいいというよりは、やはり物事をよく考えぬいてらっしゃる人たちであり、考えたことを、粘り強く、しっかり行動移せる人たちという気がします。
昔から、何事につけても成功するためには『運』『鈍』『根』が秘訣だといわれています。『運』はともかく、『鈍』は、目先の利益に走るとろくなことがない、むしろ不器用ぐらいなほうがいいということでしょうし、あまりに才気走っているひとは付き合いにくいですね。また『根』は、まわりから信頼されるまで根気強く努力しなさいということでしょう。それはわかっていても、愚直にものごとをやりつづけるというのは決して簡単ではありません。強い意志が求められます。

クレバーとワイズは違うということを以前書きました。ビジネスの世界で求められるのは、きっとIQ的な能力としてのクレバーさよりも、物事を見通せる能力としてのワイズさだということでしょう。
頭のよさというなら、頭のよさを見せない人のほうが本当は頭がいい人かもしれません。

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