村上ファンドと乗っ取り屋の横井英樹はイメージが重なります。買い占めた株を売り抜けて儲けるのか、乗っ取った企業から利益を絞りとるのかの方法の違いは時代の差でしょうが、企業価値をお金でしか考えない、事業を育てるという考え方がないないというのは同じです。
そんな経営がいかに危険かを証明したのがホテルニュージャパン火災事件です。若い人はご存じないかもしれませんが、1982年に死者33名を出す火災事故を起こしました。この火災事件がショッキングだったのは、燃え広がる炎と有毒ガスから逃れようと、高層の窓から外に身を乗り出し、あげくは逃げ場所を失い飛び降りる人びとの姿がテレビで中継されたことでした。
その後長らく赤坂には焼け落ちたホテルニュージャパンが無惨な残っていて、見るたびに悲惨な光景が思い出されました。
この火災の原因は宿泊客の寝たばこが原因でしたが、大規模な火災事故となったのは、経費節減のためにスプリンクラーも設置せず、内装も耐火素材にしなかったことによるものでした。金さえ儲けるには徹底的に経費を節約する、法も守らず安全性も考えないという発想でした。もちろん横井英樹は業務上過失致死傷罪で有罪判決を受けました。年老いた身の実刑は大変だということもあるでしょうが、確かたった3年という短い刑期で日本は犯罪に甘いんだなあと感じた人が多かったのではないでしょうか。
何時のまに「企業価値」という言葉が一人歩きしたのでしょうか。村上ファンドが阪神の企業価値を高めるというのも、これまでの報道では、資産売却して株価を上げるという単純な発想しか見あたりません。資産を売却すると、電鉄部門そのもので利益を追求せざるをえません。電鉄部門が単独で高い利益をだせるわけがなく、労組がストも辞さずと反対表明を行ったことは当然でしょう。
企業価値を株価でしか考えない時価総額至上主義は、短期的利益しか評価しないという経営となり、経営の長期的視点を失い、研究開発費をださないということになりがちです。事実、アメリカや英国では製造業が衰退し、どんどん姿を消してしまうという結果を生んできました。
インフラとして安全性担保すること、地域価値を高めていくということはかならずしも株価には繁栄しないとしても、それも立派な企業価値であることはいうまでもありません。村上ファンドが経営陣を送り込むなら、どのような経営がしたいのかを表明すべきです。それは村上ファンドが負う社会的責任であるはずです。
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