中国が2006年からはじまる5カ年計画で、高度成長から安定成長路線に移行する方針だと伝えられています。成長を抑え、都市と農村で広がってきた格差の是正にむかうということですが、さらに資源節約・省エネ型社会の構築や環境汚染問題にも取り組むという内容です。高度成長によって生まれた歪みの調整期に入ろうということですが、うまく舵を切っていけるかどうかが気になりところです。
特に中国は資源をどん欲に飲み込むブラックホールのような状態で、現在は、それが日本の経済回復にもつながったとはいえ、決して健全とはいえないことはいうまでもありません。道路、ダム、高層ビルなどの凄まじい建築ラッシュで、セメントひとつをとっても、世界のほぼ半分を消費しているという異常さです。石油や天然ガスも中国のエネルギー消費の拡大が価格の高騰を呼び込んできました。
どう考えても、省エネ・省資源型の社会、また産業を構築しないと中国の発展が継続できないばかりか、環境汚染も拡大し、東シナ海での強引なガス田開発に見られるように、エネルギーの確保で国際的な摩擦を引き起こしたり、世界経済を攪乱しかねません。都市と農村の格差は中国国内問題だとしても、中国が環境保全や省エネ・省資源社会を実現することは国際的な問題ともいえるではないでしょうか。
しかし、この省エネ・省資源型社会への移行は結構が時間がかかりそうですね。省エネ・省資源型社会は、たんに技術があるというだけでは進展しません。政策による誘導、産業界の積極的な取り組みへのインセンティブづくりだけでなく、なによりも人びとの意識の高まりが必要になってきます。
今や省エネ・省資源の先進国となった日本ですが、日本が経済効率第一主義から省エネ・省資源社会に向かう転機となったのが1970年代におこった二度にわたるオイルショックでした。
きっと技術面だけでなく、政策の整備といった点でも、、マーケティングでも、日本の経験は、中国のこういった流れに生かすことができるはずです。おそらく、「民」のビジネスの動きだけでは限界があり、日本政府からの働きかけや協力も重要になってくると思われます。
まずは小さな一歩からということでしょうが、面白い記事がありました。中国家電大手の格蘭仕(ギャランツ)という会社が日本の大阪市に研究所を設立したというのです。省エネルギー型家電の開発力を高め、ライバル各社との競争激化に備えるということですが、「高い技術力を持っていれば、年俸1000万元(約1億5000万円)以上も可能」だそうで、日本の家電メーカーの技術者を募っているようです。なかなか目の付け所がいいというか、抜けの目ないアクションですね。

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