シンボルマーク昨年暮れに東京メトロ表参道駅が「echika」として様変わりし「駅が進化し始めた」でご紹介しましたが、それに続き、先週の土曜に「表参道ヒルズ」がオープンしました。安藤忠雄さんが設計したことと、またけやき並木とともに表参道を象徴する風景であった同潤会アパートの再開発ということもあってテレビでも取り上げられ、昨日の5時頃に仕事のついでに寄りましたが人の列ができるほど盛況でした。
オープンしたてでもあり、設計が大阪出身安藤忠雄さんなので、悪くはいいたくないのですが、森ビルだから「ヒルズ」シリーズですか。「表参道ヒルズ」というネーミングはいただけませんね。なにか観光客集めの施設を感じ、表参道の情緒を感じません。それに「ヒルズ族」というのも、ライブドアの事件があって、急速に怪しげな人たちというイメージに急降下してしまいました。まあ計画段階では想定外だったのでしょうが。同潤会
安藤さんは、反対意見が多い中で、同潤会アパートの建物のイメージを残したということを主張され、先端部分にギャラリーを置く設計をされましたが、安藤さんの主張どおり、この建物が施設の個性を醸し出しています。もし、あの建物がなかったら、高さを抑えた外観からはなにの特徴もない建物になってしまっていたのではないかと感じます。

回廊建物は安藤さんらしいコンクリートの打ち放しです。しかし気になったのは、なにかエントランスも含めチープさを感じることでした。ドキドキ感とか特別な風情を感じないことです。施設は安藤さん独特のシンプルなコンセプトの造りであり、内部は表参道の坂の勾配と同じスロープが地上3階、地下3階に巡らしてあり、散策感覚で回遊できること、中央にはもともとあった三角の空間を再現した吹き抜けという工夫で、まるで大きな客船の内部のようです。
全体のイメージは納得できるのですが、見ようによっては、なにかアメリカのショッピングセンターを狭く深くしたような窮屈さ、イメージの違う雑居の店舗が並んでいるという印象を感じてしまいました。スペースの限界かも知れません。
エントランスまたそこに、並んでいる店の、ほとんどが物販店だというのも気になります。休憩スペースはあるのですが、人びとが集い、会話を交わし、都市空間を楽しむという雰囲気ではないですね。
「KAORIのマーケティングレビュー」さんが「表参道ヒルズの回遊性」でご指摘のように、やがて、売れない店の歯抜けが起こるということもあるかもしれません。
まあもうすこし落ち着いてくれば様子も変わるのかもしれません。きっと成否はこの後に、どういう「街の経営」のしくみがあるのかで決まるのだと思います。店舗構成も、「街の経営」が生きていればやがて最適なものになっていくのでしょうね。第一印象は、建築家安藤さんの個性は感じましたが、街としては、人が混みすぎていたこともあって期待はずれでした。まあ、もうすこし時間の経緯を見て暇なときにでも寄って変化を見てみたいと感じる施設であることには違いありません。
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中央階段ところで、ついでですが、以前、安藤さんのスケッチの展示を見たことがあるのですが、とても魅力的なんですよ。建物以上だといえば、叱られるかな。もし機会があればまた見てみたいものです。