google の株式時価総額がインテルを抜いてハイテク分野ではマイクロソフトに続く世界第2位となったという記事がありました。時価総額で1,309億ドルですから、ざっと15兆円。どうも数字が大きくなるとピンときませんが、2004年の各国のGDPと比べてみる(PDF資料)と、アジアではマレーシアやシンガポールのGDPよりも大きい額だということがわかります。
Wikipedia によるとgoogleの名前の由来は、アメリカの数学者が作った1のあとに0が百個続く数を表すgoogol をもじったものだそうですが、まさに検索でカバーする情報量というだけでなく、企業規模でもどんどん膨張してきているように感じてしまいます。
まるで、ドラエもんの魔法のポケットのように、どんどん新しいサービスやツールを繰りだしてくる googleです。現在リリースされているものは、こちらでわかりますし、次々と試験的に導入しているものも目白押しです。それ以外にも、このブログのサイドバーでリンクさせ利用している gmail なんかもありますね。
ウェブ検索データの開示を求める米司法省の要請に同社が従わず、プライバシー保護団体から支持されたとか、逆に、あまりに拡張していく検索機能にプライバシーに関して懸念の声もではじめてきています。中国サイトで、「台湾独立」や「ダライ・ラマ」「天安門事件」「法輪功」などの言葉は検索しても結果が示されないか、それらに関する中国当局側のウェブサイトしか表示されないというアクセス制限した検閲版サービス提供するという発表に、なぜアメリカ政府に対しては強硬な姿勢をとったにもかかわらず、中国政府には低姿勢なのかという批判が起こったり、なにかと物議をかもしはじめています。

さて、時価総額で15兆円規模ということですが、google の売上げはどうなっているのでしょうか。上場した03年が4億3950万ドル、翌年の03年はおよそ3.3倍の14億6593万ドル、04年には2.2倍の31億8923億ドルと順調に伸びてきています(yahoo finance )。05年は9月までの結果しかでていませんが、いまだに倍倍ゲームの勢いとはいえ、伸びはほんの少し鈍化しはじめているようで60億ドルに達するかどうかというところではないでしょうか。
60億ドルの売上げというと、1ドル115円換算で、6900億円規模の会社ということになります。しかも、若干ライセンス収入もあるようですが、そのほとんどが広告収入です。グーグルの広告には派手なモノはほとんどありませんが、塵も積めれば山となるという感じですね。その会社の時価総額が15兆円です。ちょっと日本のネット企業とは事業内容があまりに違うので比較にはなりませんが、株の世界はそういうものだということでしょう。
昨年は、動画のアップロードを受け付け、動画の検索や、将来は動画配信も予定しているということでちょっと話題になったりもしましたが、なにかgoogleの魔法のポケットからでてくるサービスやツールもかなり玉石混淆ぎみだと感じはじめています。オンラインの決済への進出もあるということですが、さあ、googleは、「検索のデファクト化をめざし、広告収入で稼ぐ会社」からどんな会社に行こうとしているのでしょうか。多角化すればするほど、ヤフーやマイクロソフトとの競争も一段と激化してきます。
ヤフーのCEOテリー・セメル会長は、昨年、googleがインターネット検索分野の先駆者であり技術を称賛したうえで、「google は、ヤフー社に追いつくため、闇雲に手を広げているに過ぎない」という批判的なコメントをしたそうです。
googleがどこに行こうとしているのかは興味深いところです。いまは広告収入で稼ぐというモデルが成功しており、技術的な話題はさておき、web上の情報に限らず、あらゆる情報を取り込むことを目指しているという姿勢は覗えます。googleの利用度が上がれば上がるほど、広告収入は増加します。だから、ビジネスモデルということでは、広告収入で稼げるあいだはそれでもよく、マイペースでいくつもの実験をやっていけば、明日も見えてくるからいいじゃないかという感じかも知れません。
googleが成長するにつれ、ヤフーやマイクロソフトとの境界線が崩れていくでしょうが、むしろそういった競合になっても、マイナス面があったとしても、googleのブランドイメージや検索技術の強味も発揮できるわけでそれなりのポジションはキープできるのではないでしょうか。それよりは、googleにとってのリスクは、日経が書いているように、むしろ人材確保やスタッフのモチベーションをあげるために発行している譲渡制限付き株式やストックオプション(自社株購入権)が、やげて利益を圧迫してくるかもしれないという見方のほうがリアリティがあるように感じます。

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