この世代がどうのこうのという話が好きな人がいらっしゃいますが、マーケティングの世界では、コーホート分析と言って、かなり昔から世代による特徴差を分析しようという試みがありましたが、現場で活用されることはほとんどありません。なぜかというと、本当に世代の特徴による消費傾向を切り出そうというのは案外難しいし、わかったところであまり役立たないことが多いのです。
それと、多くの人が世代の特徴と思っているものは、実はライフステージの問題であったり、時代の特徴にすぎないというものが案外多いのです。

「今どきの若者は」というのは太古の昔から繰り返されてきた年寄りのぼやきですが、上の世代から見ると自分たちの若い頃と「今どきの若者」がずいぶん違って見えるだけで、さらに上の世代から「今どきの若者は」と言っている人を見ると、「あんただって若い頃は良く似たものだった、偉そうに言えた義理か」ということになります。

マーケティングの現場にいると、実際にはライフステージによる差に目を向ける方が、さまざまな変化が見えてきたり、さまざまな切り口を発見しやすいという知恵がついてきます。ライフステージというのは、出生から、学校の卒業、就職、結婚、出産、子育て、退職といった人生の節目のどの段階かという見方です。もちろん肉体的、精神的にも人生の節目が存在します。それもライフステージに含めて良いでしょう。
会社の中でも、若手の時代があり、リーダーになって、管理職になるといった、キャリアによる節目みたいなものがありますね。それも広い意味でライフステージでしょう。団塊の世代の悪口をさんざいっていたポスト団塊世代も、今や押しも押されぬ管理職世代で、またその下の世代から、「あの世代はどうしようもねーんだよ」なんて悪く言われます。ライフステージの違いがあるから歴史は永遠に繰り返されるのです。

だから、マーケティングの現場での問題の立て方はこうです。このビジネスのお客さまは、どのライフステージの人たちなんだろう、そのライフステージ(たとえば、子育て期)になると、どんなニーズが生まれ、またどんなことに関心が向いてくるのだろうか、これまでのそのライフステージ(子育て期)の人たちと、これからそのライフステージ(子育て期)に向かう人たちはなにが違っており、その違いを生み出してくる原因はなにで、どうすれば満足したり、共感してもらえそうなのかといったアプローチ方法をとります。まあ、育った背景といった世代の特徴は最後の味付けで考える程度でしょうか。
もちろんライフステージによる違いよりは、ライフスタイルや生活の価値観による違いのほうが大きいということが増えてきましたが、それは時代の変化がさせることだということです。
世代の違い、ライフステージの違い、時代の違いという3つの尺度を持って、どれが影響しているのかという目で世の中の変化を眺めてみると、きっっと面白い発見があると思います。オススメします。

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