中国で、今月の13日に吉林省の化学工場が爆発事故を起こし、ベンゼンが松花江に流出したことで、ハルピン市内の水道供給が停止されるなど大騒ぎになっていましたが、それがアムール川に流れ込み始めロシアにまで汚染が広がりました。さらに重慶市でも24日に医薬・化学工場が爆発し、長江の支流へベンゼンが流出したという事故が報道されています。
中国による環境汚染の脅威が大きな問題となってきたように思います。中国当局も危機感があり、全国の関係機関に、表面化していない環境汚染事故を探し出し、汚染物を排出する企業への監督を強化するように求める緊急通知を出したというニュースがありましたが、かつての高度成長期の日本を思い起こすと、そう簡単には解決しないでしょね。
工業排水の3分の1、生活汚水の9割以上が未処理で直接河川に流れているそうです。日本海だって汚染がどんどん進んでいるのではないでしょうか。酸性雨の問題も含めて、日本や韓国にとっては他人事ではありません。

環境問題だけでなく、中国の急速な経済成長で生まれた歪みによる影響が大きくなってきています。鉄鋼をはじめとした素材価格、石油価格の高騰も、急 成長する巨大な中国が飲み込んでいっていることが大きな原因です。幸いなことに日本は、素材や石油のGDPに占める比率が諸外国に比べ低いので影響が小さ かったっというか、むしろ不況業種を復活させ景気回復につながったのですが、直接的な原因ではないとはいえ、建築業界で今回の強度偽造事件のように、コス トアップに耐えかねて鉄筋を減らすというような問題が起こってしまいました。

環境問題をひきおこしている中国は、かつての高度成長期の日本を見ているような気分になります。その頃の日本でも、経済成長優先の流れの中で、環境 も人びとの安全も後回しになってきました。さまざまな公害問題が起こり、まだその後遺症も残っています。日本の高度成長期は、35年程前に終わりを迎えま すが、その頃の日本も、下水道の普及率の推移を見ると今の中国とあまり変わらなかったのじゃないでしょうか。

その頃はまだ学生でしたが、水質検査のアルバイトで体験したことを思い出しました。夜中に1時間おきに河から水を採取するという仕事でした。ほとん んど待機していればいいだけのおいしいアルバイトで、気楽な気持ちではじめたのですが、やがてそれが怒りに変わっていきました。仕事を開始した時間には本 当にキレイに澄んでいた河が深夜になると突然濁り出すのです。時間と共に汚染が酷くなり、それが朝が近づくと徐々に透明度を取り戻し、夜明けの頃にはもと のキレイに澄んだ河に戻っていました。みんなが寝静まった頃に一斉に工場でたまった水を河に流すのです。工場排水をまともに処理していると高くつくので夜 中に垂れ流す。それが高度成長期の日本を象徴しているようでした。
今の中国もそんな状態なのかも知れません。それぐらい日本と中国にはタイムラグ があるということでしょうが、中国を嗤っているだけ、また非難するだけでは問題は決して解決しません。環境汚染はすぐには目に見えなくともやがて大きなツ ケがやってきます。しかもかつての日本とは比べものにならない規模で環境汚染が進んでいるということが危惧されます。

政府や関係機関に は、中国に対して環境対策強化を要求して欲しいし、環境対策や省エネのノウハウの提供や技術供与などの働きかけもやって欲しいですね。今回の汚染処理の協 力をして貸しをつくるとか、いっそ中国で大規模な環境展とか省エネ展でも開催するとか、既に行われているかもしれませんが、環境や省エネ技術交流会でも やったらどうでしょうか。きっと日本にとっては投資価値があるように思いますがみなさんはどう思われますか。

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