3a06eddd.jpg

JP山手線の列車に乗ったとたんに、いつもと違う気配を感じました。全車両のあらゆる広告が、あのi-Pod+iTunesのテーマカラー、青、黄色、緑、ピンクで埋め尽くされていたのです。しかも液晶の広告は、あのくねくねダンス。
思い起こすのはSONYが「NW-HD1」を発表し時に、当時のソニー代表執行役社長であった安藤国威さんが、高らかに「HDDウォークマンは半年、1年でiPodを追い抜く」と宣言されたことでした。それは無理ではないかと「崩壊し始めた?SONY神話」で書きました。危惧したようにいまや勢いが違います。
その絶好調のi-Podでおもしろいのは、日本ではハードが受けて、iTunesというソフト利用が広がり、さらに音楽配信のストア利用へと進んできたことです。ハードが売れ、ソフトが強化し、さらにストアへと発展していくというプロセスであったということです。
これはアメリカでのiPod普及のプロセスとは違ったプロセスだったのではないでしょうか。国民性でしょうか。近くでレンタルCDを借りることができるか、そうでないかという環境差でしょうか。
さていまやこの分野は、かつての王者ソニーとアップルの一騎打ちの市場となってきたようで、第三位のシェアを持つRIOも撤退を宣言しています。
今回の新製品の発表も、意図してのことと思いますが両社が同日の8日でした。アップルが厚さ六・九ミリの超薄型タイプ「iPod nano(アイポッド・ナノ)」を、ソニーが楽曲検索が簡単な「ウォークマンAシリーズ」を十一月十九日に発売すると発表しました。しかし残念なことに、これだけ勢いが違うのに発表を合わせる意味があったのか疑問です。iPodの機能を内蔵した携帯電話「ROKR(ロッカー)」も米国で発売され、携帯電話の分野でもSONYと激突するという様相になってきました。
このi-Pod+iTunesでネットでダウンロードできるストアができるというビジネスモデルは、もう5年ほど前に、みんなが描いてきたことではないでしょうか。プライベートな話になってしまいますが、当時、クライアントのご依頼で音楽配信の事業化の可能性を探ってロスにも行ったりして研究していましたが、技術的にも、市場の受容性でも、なんら問題がなくとも、その前に立ちはだかっていたのが音楽レーベルの業界でした。インディーズ・レーベルのシェアがアメリカとは比較にならないぐらい低く、音楽の世界を独占しているといっていい日本の音楽業界が音楽配信に慎重になることは当然の流れかもしれません。アップルという黒船の到来を必要としたのでしょう。だから、確保できるのがインディーズを中心とした小さな範囲にとどまらざるをえず、ビジネス化は無理だという結論をだしましたが、安易に乗ったところほとんどが失敗してしまいました。それから携帯の着メロ市場が伸び、やっと遅ればせながらMORAとiTunes Musiv Storeでビジネスがスタートしたことは感慨深いものがあります。まあこのふたつを比較すると、単なる配信サイトでしかないMORAとハードも含めたシステムで本気のiTunes Music Storeでは差がついて当然かもしれません。
今も自宅でiTunesで、 The Rude Mood Stationというラジオ局から流れるブルースを聴き流しながらこれを書いていますが、なかなかグッドです。PCに限らず、携帯の音楽配信との境界もなくなってきており、携帯の着メロで利益を得てきた会社も、高い料金の課金ができなくなり違う収益源が必要になってきそうですね。

人気blogランキングへ