コンセプトは、組織活動に相乗効果や一貫性をつくりだすために大切であることを前回書きました。マーケティングには多くの人たち、多くの活動がかかわってくるわけですから、コンセプトがいかにチームのメンバー伝わり、理解され、共有されるのかが鍵になってきます。さらに、コンセプトを核にして、どんどんアイデアや知恵が生まれてくれば、マーケティングに勢いが生まれてきます。。
インパクトがあり、広がりのあるイメージや意味が伝わるコンセプトがいいのですが、そこで登場するのがメタファーです。 この記事を書こうとしていたら、グッドタイミングでFJK Point of View の「メタファー」の記事がありました。まずはそちらのほうで「メタファー」のイメージをつかんでください。
マーケティングの場合、もっとも基本となる戦略コンセプトは、(WHO)誰に向けての商品やサービスなのか、(WHAT)何を価値として売るのか、(HOW)どのような戦略で売るのかが基本要素となってきます。どれかひとつだけでもいいですし、すべてを語ってもいいのですが、語れば語るほど、人のハートに響かないですし、まとめた本人ですら忘れかねなくなります。そこで登場するのがメタファーです。

例えば、「逆さピラミッドの組織」というメタファーと、「顧客が第一であり、顧客と接している人びとに権限委譲がなされ、顧客の満足を第一とした行動ができることを目指し、従来の企業経営者が組織のトップという発想でなく、逆に顧客、さらに顧客と接している人びとが組織のトップであり、マネージャーや経営者は、それを下から支えるボトムに位置していると考えた組織のありかた」という文章では、どちらのほうがインパクトがあり、その新しい組織をイメージしやすいでしょうか。
かつて私が参加させていただいたカセットテープのマーケティング再構築のプロジェクトで、プロジェクトメンバーが導き出したコンセプトは「ターゲットは半熟卵」でした。半熟卵というのは、まだ、購入するブランドが固まっておらず、新しい提案を受け入れてくれる柔軟な感性を持った中学生のことです。当時は、カセットテープは、ブランドが、若い人たちの音楽感性やパーソナリティのアイデンティティとなるような商品で、TDKやSONY、マクセルの御三家ブランド以外は入り込む余地のない市場でした。だから「半熟卵」であるニューカマーに集中したわけです。こうやって説明するよりは、「半熟卵」のほうがより多くを語っているような気がします。
コンセプトに、難しい言葉、多すぎる言葉は必要ありません。むしろ逆だと思います。分かりやすくシンプルなものが、より伝わり、広がりが生まれてきます。メタファーを使わなくともストレートなコンセプトでもいいと思います。
しかし、簡潔なキーワードで表現するというのは、多くを語るより、実際には難しいことです。簡潔にしようとすればするほど、本質が何かを考えさせられます。「コンセプトは企画書の枕詞」ではありません。コンセプトは、何に集中し、何にすべてを賭けるかという戦略の表現です。
飾りをなくし、余計な贅肉をそいでいって、なおかつ堂々と主張できるコンセプトこそ、チームや人びとのエネルギーを引き出し、顧客に共感していただけるのマーケティングを生み出すのだと思います。