実践の世界にいると、コンセプトはマーケティングの命だということを思い知らされます。コンセプトなどという枕詞はいらない、要はアイデアだということを書いておられたマーケティングの評論家の方がおられて驚いたことがあります。
コンセプトがなぜ大切かを、コンセプトがマーケティング活動の中で、どのような働きをしているのかで考えて見ましょう。
まず、コンセプトは、さまざまな活動を連動させたり一貫性をつくりだす原点だということです。
なんらかのマーケティングを展開する際には、多くのチームや人びとがかかわってきます。技術、リサーチ、生産、営業企画、営業現場、広告代店、印刷会社などの異なる役割を持ったチーム、またそれぞれのチームの中のディレクターやスタッフが知恵を出し合って、ひとつのマーケティングが生まれてきます。
このチームやメンバーが、グッドチームとして、まとまっていくためには、こんな世界をつくりあげたい、自由闊達にアイデアは出して欲しいが、ここからははみ出さないで欲しいという目標とか、方向づけ、また思想が必要です。それがコンセプトです。
実際、それぞれのチームや人びとがアイデアを考えているうちに、しばしば、本来目指しているものと外れてくることがあります。いいアイデアだと感じると、全体が見えなくなり、そううなりがちなのが人の習性です。
野球で言えば、「機動力があり、打線がつながるゲーム」をコンセプトとしてゲームプランを立てても、それぞれの選手がホームランを狙って、荒いゲームをやっていては、たとえ散発的にホームランがでたとしてもなかなか勝てません。
笑い話のようで実際たまにあることですが、たとえば広告代理店の企画チームの描くコンセプトと、制作チームの表現プランのコンセプトがずいぶん違ってるということがあります。それぞれ、なるほどというプランなのですが、結局は何をプレゼンテーションしたいかが分かりません。得意先の信頼を失い、せっかくかけた労力もプレゼンテーションも台無しになってしまいます。
いかに魅力あるコンセプトを生み出せるかは、マーケティングがチームや多くの人びとの知恵をいかに上手に引き出せるかということにもかかっています。コンセプトはいいマーケティングを生み出すための命だといって過言ではありません。