まざまな、マーケティング能力のなかでも、特に「構想する」ということが、ますます重要になってきています。
では、「構想する」とは、何を考えることなのかということですが、まずは、市場がどのように動いていくかという想定です。どんな変化が起こりそうで、どんな流れに向かっていくかという読みです。そこから、何に備え、何に着手することかが必要であり、重要なのかを逆算します。
市場が流動化し、変化が激しくなってきました。しかも、多くは、市場や、競争関係の根底を揺るがすような構造変化です。変化が起こってから、対処を考えはじめていたのでは、このスピードの時代についてはいけません。気が付くと市場がなくなっていたと言うこともありえる時代です。
ただ、気をつけておきたいのは、あくまで「読み」です。あえて「予測」といわなかったのは、数字とかデスクワークのの予測に振り回されないで欲しいからです。大切なのは、数字よりむしろ変化の流れや、起こりうることがらのシナリオをどう描くかです。
市場が右肩上がりの時代は、数字の予測に力を入れる意味があっかもしれませんが、今日は、どのように構造が変わってくるかの読みのほうがはるかに重要です。
変化が激しく、競争も激しいなかで、製品のライフサイクルも短くなってきました。製品のライフサイクルが短いと言うことは、マーケットのシェアも、その時に何がヒットしたかで激変します。例えば、デジタルカメラ市場は、まだ生まれて10年に満たない新しい市場ですが、その間にリーダーの席はドラスティックに変化してきました。まずはカシオがQV10で先行し、50%以上のシェアを持っていました。しかし、その後、富士フイルムが100万画素を超えたFINEPIXを投入して、あっという間にトップの座を奪いました。さらに、その後SONYがブランドイメージを活かして売り上げを伸ばし、トップとなったのもつかの間、遅れてきたCANONがIXYで市場のリーダーの座につくというめまぐるしい変化が繰り広げらえてきました。まさに戦国時代の様相です。この先も、どうなっていくのか、誰が市場を制覇するのかも不透明です。
そうなってくると、市場のニーズに対処療法的に対応していれば良いという時代でなくなってきます。もちろん市場の声を真摯に聞き、課題を発見し、商品や業務を改善していくという地道な努力は、日本の企業の強さであり、そのような努力は不可欠ですが、それだけでは十分でなくなってきているのです。
現代は、「この指とまれ」の時代です。製品やサービス、またそのコンセプトの個性的な魅力、ぬきんでた魅力がないと誰も買ってくれません。総花的に広く薄くというやりかた、ニーズに対処的に何でも応えるというありかたには限界がでてきます。
多様化してきているニーズのなかで、どのニーズに応えていくのかという「選択」と、選択したフィールドに向けて人・もの・金・情報という資源をどこに「集中」するかが必要になってきたということです。
個々の製品やサービスがヒットしたというだけでは不十分で、つぎつぎと開発されていく製品やサービスを通じて、他のどこにもない独自の魅力、それを生む独自の技術を蓄積して磨いていくことが問われてきています。その意味でも、我が事業は何を本質的で核となる競争力、つまりコアコンピタンスとするかという構想が必要になってきます。つまり「選択と集中」が重要なテーマになってきているということです。
市場の変化の「読み」と、そのなかで何に「選択と集中」を決断すると、おのずとどのようなことにまずは着手し、次に何に備えてを動いていくべきかも具体的なレベルで見えてきます。そうすることで、変化する市場に振り回されることのない、現実的な事業のシナリオが描けてきます。