マーケティング環境で、大きく変わってきているのは、生活者やユーザーの商品選択の基準がどんどん高度化してきているということです。
「プロシューマ」という言葉が生まれました。商品に関した知識が供給側より高く、商品の選択においてもプロ並みのレベルという消費者のことを言います。
次に、生活者のひとびとが、単に製品の機能や品質だけでなく、それが自分の使う目的や、あるいは自分の生活シーンや生活感性にあっているかどうかということもモノを選ぶ基準として普通になってきています。
そういったモノの選択の高度化が進んでくるにつれて、マーケティングのなかで、リサーチ(調査)が極めて重要な役割を担うようになってきました。
今日は、リサーチの質や、リサーチ結果の解釈の質が、マーケティングの成否を握る大きな鍵になってきているといっても過言ではありません。
開発者やマーケッターが、こういう製品が売れると思い描いているものと、生活者がの思いとは、見事に異なるものです。
作り手は、開発のプロかもしれませんが、生活者は、買い手のプロであり使い手のプロです。普段、ほとんど買い物をしない人たちには、商品を購入する際の買い手の視点は、なかなか理解できません。
マーケティングの格言といってもいいのですが、トップがデザインに口出しすればするほど売れない商品になっていくのは、こういった事情があるからです。
第二に、そのような買い手、使い手のプロである生活者の人びとを、どのように開発に参加してもらうかという視点が必要になってきました。
もちろん、開発会議に参加してもらっても、混乱するばかりで、この点もリサーチが重要な役割を担ってきます。
今日の製品開発は、商品コンセプトやプロトタイプ
(試作品)のリサーチを通して、仮説→検証→修正を行いながら完成していきます。
よく、リサーチを自分の都合のよいデータを取る手段と考えている人がいますが、その悲劇はいたるところで起こってきています。
イトーヨーカドーの鈴木会長は、しばしば、ライバルは生活者とおっしゃっています。その通りだと思います。移りゆく生活者の人びとの気持ちにどう追いつき、自分が求めていたモノはこれだという商品や商品の提案をどのように開発できるかがが今日のマーケティングの大きな課題になってきました。