諌早湾干拓事業について福岡高裁が1審の工事差し止め命令を取り消す決定したことを受けて毎日、朝日、日経各誌が社説で取り上げています。今回の高裁決定は、環境を汚染するという定量的な証拠がないという判断ですが、国に対して調査も求めています。なにかこの裁判そのものも税金の無駄に思えてなりません。環境への影響を議論するまでもなく、政府が工事を中止すればいいだけのことです。

総工費2460億円に対し、干拓地で計画されている農業生産額が年間45億円という事業、しかも減反政策を進めるなかでなぜ農地をつくるのか、さっぱりわかりません。それが批判されると、無理やりに見つけたのが水害を防ぐということでした。毎日新聞の社説が、この点をよくまとめています。
諌早湾干拓事業は1986年から始まったが、構想自体は50年代にさかのぼる。食糧難の時代だった。構想の主題は農地の拡大による食糧の増産だった。

 ところが70年代に入るとコメの過剰在庫が問題になり、減反が始まる。本来は、この時点で構想自体の説得力は失われた。そこで思い起こされたのが57年に諌早市を襲った台風被害だった。構想は防災事業として生き残った。

 驚くべきは、そうした構想が80年代後半になって事業として実現したことだ。何がなんでも地元に巨大な公共事業をという地方政府と、それと連携する政治家の執念を感じる。

これほど馬鹿げた干拓事業を止められないというのは異常としかいいようがありません。もうほとんど工事が終わっているからということでえしょうか。島村宜伸農相は工事を進めると言っていますが、いったい誰の利益を考えての発言なのでしょうか。説明責任がありますね。普通の会社なら株主訴訟ものです。
予算さえつけば、目的は何でもかまわない。社会情勢が変わっても、いったん予算がつくとそれが利権となってそこに人々がたかり、どんどん無駄な借金が増えていきます。こんな非効率な公共事業が日本を沈めていきます。この程度の工事が中止できないというのでは財政再建といっても誰も信じません。ほんとうに情けないですね。

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