2005年05月06日
チャイナ・リスクはひとまず回避
読売新聞の5月5日付けの社説[『反日』デモ阻止]「立証された中国当局の“能力”」は信じられないほどお粗末な社説でした。タイトルと書いてある内容が違ったのです。タイトルのように「中国当局の“能力”」がどのように立証され、その能力が日本にとってどういう意味を持ち、将来に影響するのかは本当に知りたいところです。しかし書いてあることは途中から、相変わらずの中国の反日教育問題でした。中国で反日教育がなされていることは、社説を読むような人は、すでに誰もが知っていることなので、なんの新鮮さもありません。
私たちのような素人なら、タイトルと内容が違うというミスがあっても不思議ではないですが、プロの新聞社としてはいかがなものでしょう。読売の社説の質が劣化しているというか、たんに渡辺主筆がぼけてきたということでしょうか。そういえば、巨人を応援する財界人による激励会『第13回燦燦(さんさん)会』での渡辺主筆の予測では、いまごろは巨人は連勝しており、視聴率もゴクセンなみになっていたはずでしたね。
私たちのような素人なら、タイトルと内容が違うというミスがあっても不思議ではないですが、プロの新聞社としてはいかがなものでしょう。読売の社説の質が劣化しているというか、たんに渡辺主筆がぼけてきたということでしょうか。そういえば、巨人を応援する財界人による激励会『第13回燦燦(さんさん)会』での渡辺主筆の予測では、いまごろは巨人は連勝しており、視聴率もゴクセンなみになっていたはずでしたね。
さて、北京から始まり中国各地に広がった反日デモと暴動が、1919年の抗日闘争「五・四運動」の記念日にあたる4日に再燃するのか中国政府によって抑え込むことができるのかは、世界中の視線が注がれていたように思います。しかし、実際にはこれといったデモも騒ぎも起こりませんでした。つまり読売新聞社説で書かれていたタイトルのように「中国当局の“能力”」が立証されたわけです。不安な日々を過ごしていらっしゃった現地滞在の皆さまも一安心されたのではないでしょうか。
なにが問題だったかというと、もしデモを押さえることができず騒動になっていれば、中国政府に統治能力がないということになり、中国は安心して投資や経済活動ができない国という評価が下されます。そうなると良好な経済関係は崩れ、資本の引き上げも起こり、経済成長の足かせになるばかりか、極端な場合は経済の失速もありえると懸念されていました。
それは日本の悪口を言って、中国が経済失速したからざまあみろという問題では済みません。同時に日本の経済も失速も意味するからです。中国経済が失速しても影響をうけないほど日本の経済が盤石とは到底思えません。緩やかに成長が収まっていけば、それなりの対処もできるとは思いますが失速は困るのです。
中国経済の不安要因、つまりチャイナ・リスクについては、内田樹教授のブログ「内田 樹研究室」で、「チャイナ・リスクの四つの要因」として分かりやすく整理されているので参考になると思います。
ちなみに内田教授が挙げられている四つのリスク要因は、
以上ですが、「見えない資産の未成熟」というのは分かりにくいかもしれません。経済活動の規模に対して、それを支える組織原理や職業倫理といった「見えない資産」が十分に備わっていないということです。日本の場合は江戸時代からの見えない資産の蓄積が相当ありました。だから明治になって奇跡と思える成長が実現できたのです。この問題は、すぐに表面化するというよりは経済成長をしてくると、ある時点で壁にぶつかってしまい、やがて原因として浮上してくるといった類の問題だと思います。失業者問題も中国がいまのような経済成長を遂げている限り表面化しません。
当面の問題は、「中間層」がどうなるのか、また政府の統治能力がどこまであるのかということ。この二点がどうなるのかは不透明です。
今回の反日デモや騒動を起こしたのは、どうも、失業の不満を持つ人たちとか、経済の不平等を訴える労働者ではなく、比較的豊かな「中間層」のようでした。だからこの騒動がどこまで広がるのかよけいに不気味だと感じました。インターネットが反日デモを広げたのですが、週間ポストによると、その反日サイトの中心のひとつは、アメリカにいる台湾出身の中国人がやっているものだと言う点でも不気味です。
いずれにしても、今回分かったことは、こういった中間層にこそ鬱屈した感情があり、それが反日という名目で爆発したということだと思います。鬱屈した感情が、いつなんどき中国政府への不満に変わるのかは予測がつきません。中国政府も、それを恐れたのではないでしょうか。
13億人という歴史上なかった巨大な人口を抱える国が、どんでもないスピードで経済成長をしているのです。それが一党独裁体制で統治されている状態は世界が経験したことがありません。もし政府による統治が綻びると経済の打撃だけでは済まないでしょう。
さて今回は一段落しましたが今後はどうなるのでしょうか。中国政府によって、日本との交流が大切なこと、反日デモなどが中国にとって利益にならないことなどのキャンペーンが党をあげて展開されたようです。しかもデモや騒動を押さえるためにインターネットへの規制が一段と強められました。そのような情報統制を強化して、それでデモが一時的には押さえられたとしても、疑問なのは、それによってさらに反発が生まれてこないのかということです。「ものが言えなくなった」中間層の不満が、さらに屈折して蓄積されていくことも十分に考えられます。それが再び反日感情として現れてくるのか、政府への不満として爆発するのかは誰にもわかりません。
経済成長が順調なうちは大きな火だねはないと思いますが、永遠に経済成長していくことなどありえません。中国政府もタイマーはセットされているという認識ぐらいはあるものと思いますがどう対処していくのでしょうか。
しかし、日本にとっては、少なくとも当面は外交を展開する時間の余裕はできたわけです。冷戦構造が崩れ、国際関係が多極化してくると、ほんとうに外交が難しくなり、手腕が問われてくるようになりました。というか、普通に考えれば、貿易依存度が高い日本は交手腕を磨いていかなければやっていけないはずですから普通の状態になったということだと思います。
この間、政府はよくやったとは思いますが、今回を良い機会としてとらえ、どんどん相手の懐に飛び込む積極的な外交努力を期待したいところです。(ただかつてのように取り込まれると困りますが)
「中国当局の“能力”」に対する見方はいろいろあるものと思います。みなさまのご意見を聞かせていただければと存じます。
↓ おひとり、おひとつのクリックが励みになっています。

よろしくお願い致します。(^_^.)
なにが問題だったかというと、もしデモを押さえることができず騒動になっていれば、中国政府に統治能力がないということになり、中国は安心して投資や経済活動ができない国という評価が下されます。そうなると良好な経済関係は崩れ、資本の引き上げも起こり、経済成長の足かせになるばかりか、極端な場合は経済の失速もありえると懸念されていました。
それは日本の悪口を言って、中国が経済失速したからざまあみろという問題では済みません。同時に日本の経済も失速も意味するからです。中国経済が失速しても影響をうけないほど日本の経済が盤石とは到底思えません。緩やかに成長が収まっていけば、それなりの対処もできるとは思いますが失速は困るのです。
中国経済の不安要因、つまりチャイナ・リスクについては、内田樹教授のブログ「内田 樹研究室」で、「チャイナ・リスクの四つの要因」として分かりやすく整理されているので参考になると思います。
ちなみに内田教授が挙げられている四つのリスク要因は、
■見えない資産の未成熟
■2億人といわれる失業者
■2億5千万に達した「中間層」
■中国政府のガバナビリティに対する不安
以上ですが、「見えない資産の未成熟」というのは分かりにくいかもしれません。経済活動の規模に対して、それを支える組織原理や職業倫理といった「見えない資産」が十分に備わっていないということです。日本の場合は江戸時代からの見えない資産の蓄積が相当ありました。だから明治になって奇跡と思える成長が実現できたのです。この問題は、すぐに表面化するというよりは経済成長をしてくると、ある時点で壁にぶつかってしまい、やがて原因として浮上してくるといった類の問題だと思います。失業者問題も中国がいまのような経済成長を遂げている限り表面化しません。
当面の問題は、「中間層」がどうなるのか、また政府の統治能力がどこまであるのかということ。この二点がどうなるのかは不透明です。
今回の反日デモや騒動を起こしたのは、どうも、失業の不満を持つ人たちとか、経済の不平等を訴える労働者ではなく、比較的豊かな「中間層」のようでした。だからこの騒動がどこまで広がるのかよけいに不気味だと感じました。インターネットが反日デモを広げたのですが、週間ポストによると、その反日サイトの中心のひとつは、アメリカにいる台湾出身の中国人がやっているものだと言う点でも不気味です。
いずれにしても、今回分かったことは、こういった中間層にこそ鬱屈した感情があり、それが反日という名目で爆発したということだと思います。鬱屈した感情が、いつなんどき中国政府への不満に変わるのかは予測がつきません。中国政府も、それを恐れたのではないでしょうか。
13億人という歴史上なかった巨大な人口を抱える国が、どんでもないスピードで経済成長をしているのです。それが一党独裁体制で統治されている状態は世界が経験したことがありません。もし政府による統治が綻びると経済の打撃だけでは済まないでしょう。
さて今回は一段落しましたが今後はどうなるのでしょうか。中国政府によって、日本との交流が大切なこと、反日デモなどが中国にとって利益にならないことなどのキャンペーンが党をあげて展開されたようです。しかもデモや騒動を押さえるためにインターネットへの規制が一段と強められました。そのような情報統制を強化して、それでデモが一時的には押さえられたとしても、疑問なのは、それによってさらに反発が生まれてこないのかということです。「ものが言えなくなった」中間層の不満が、さらに屈折して蓄積されていくことも十分に考えられます。それが再び反日感情として現れてくるのか、政府への不満として爆発するのかは誰にもわかりません。
経済成長が順調なうちは大きな火だねはないと思いますが、永遠に経済成長していくことなどありえません。中国政府もタイマーはセットされているという認識ぐらいはあるものと思いますがどう対処していくのでしょうか。
しかし、日本にとっては、少なくとも当面は外交を展開する時間の余裕はできたわけです。冷戦構造が崩れ、国際関係が多極化してくると、ほんとうに外交が難しくなり、手腕が問われてくるようになりました。というか、普通に考えれば、貿易依存度が高い日本は交手腕を磨いていかなければやっていけないはずですから普通の状態になったということだと思います。
この間、政府はよくやったとは思いますが、今回を良い機会としてとらえ、どんどん相手の懐に飛び込む積極的な外交努力を期待したいところです。(ただかつてのように取り込まれると困りますが)
「中国当局の“能力”」に対する見方はいろいろあるものと思います。みなさまのご意見を聞かせていただければと存じます。
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1. 何も起こらなかった中国 5月4日 [ Dr Blue ] 2005年05月07日 00:56
2 接受国の当局は、領事機関の長もしくはその指名した者または派遣国の外国使節団の長の同意がある場合を除くほか、領事機関の公館でもっぱら領事機関の活動のために使用される部分に立ち入ってはならない。... 3 接受国は、2の規定に従うことを条件として、領事機関の公
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5. Posted by 大西宏 2005年05月07日 07:23
shiraga さん、ご意見ありがとうございます。フォントサイズは、ライブドアの標準のスタイルを利用しているためにそうなっています。
文字の表示サイズに関しては、ブラウザーにFIREFOXを使うと、Ctrlキーと+、Ctrlキーと-で自在に調整ができ便利です。
また右下に出てくるマークをクリックするだけで、そのブログのRSSをブックマークに登録でき、タイトルが表示されとても重宝しています。ブログの巡回にはお勧めします。
なおfirefoxは、GOOGOLEで検索すればトップにダウロードページがでてきます。無料です。
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4. Posted by shiraga 2005年05月07日 03:46
Blogのスタイルを規定している「http://ohnishi.livedoor.biz/site.css」に関してですが、なぜフォントサイズに「x-small」や「xx-small」を指定しておられるのですか?確固たる理由があるなら教えて下さい。
個人的には、「個々のユーザーはすでに自分が読みやすいサイズにブラウザを設定しているはずであり、サイト側が本文サイズを指定すべきでない。特に小さなサイズを指定するなど論外である」と考えているのですが、これに関して、どのようにお考えになりますか?
個人的には、「個々のユーザーはすでに自分が読みやすいサイズにブラウザを設定しているはずであり、サイト側が本文サイズを指定すべきでない。特に小さなサイズを指定するなど論外である」と考えているのですが、これに関して、どのようにお考えになりますか?
3. Posted by 緑茶 2005年05月07日 02:59
私は以前も書きましたが、中国への投資は日本は先頭に立って行うべきではないと思います。今回の騒動で韓国の報道では日本製品不買運動は韓国製品のチャンスとの意見がありました。また、日本車の攻勢で中国でのVWやGMのシェアが下がってます。外国企業にとっては日本排斥は歓迎でしょう。
地理的にも日本が中国市場に有利な訳で、そこで寡占状態になると、他国の嫉妬を買います。この構図は戦前と同じです。日本の経営者もその辺を踏まえるべきです。もちろん経営者は前年比5パーセント10パーセントを目指して経営している訳で、中国はまさにゴールドラッシュに見えるのも分ります。ですから打開策としては日本単独ではなく外国と連携しての進出を模索すべきではないでしょうか。トヨタとGMが対等出資して中国企業と合弁で車を造るとか。
地理的にも日本が中国市場に有利な訳で、そこで寡占状態になると、他国の嫉妬を買います。この構図は戦前と同じです。日本の経営者もその辺を踏まえるべきです。もちろん経営者は前年比5パーセント10パーセントを目指して経営している訳で、中国はまさにゴールドラッシュに見えるのも分ります。ですから打開策としては日本単独ではなく外国と連携しての進出を模索すべきではないでしょうか。トヨタとGMが対等出資して中国企業と合弁で車を造るとか。
2. Posted by 小島愛一郎 2005年05月06日 18:37
多民族国家である中国。そして世界中に広がっている華僑などのネットワーク。さらに、国家という枠組みでは統治できないほど膨れ上がった絶対的な数として多い人口。どれを見ても中国当局にとっては不安要因だと思います。換言すれば日本はまだまだ不安要因が数少ないということかもしれません。しかし、中国当局は恐らく現状、特に内部要因についてはそれなりの対策、シュミレーションをしてきたはず。しかし、日中関係だけでなく、政治・経済を問わず諸外国との関係悪化といった予測しがたい外部要因がトリガー、引き金となって、中国が危機的状況に陥るかもしれないと思っています。よって、外部要因が原因となった中国の危機的状況を調整できる外交手腕がこれからの日本に問われてくると思います。今の日本は相手国との対処で精一杯で諸外国の調整役という手腕はまだまだです。
1. Posted by Dr.ベラジオの<賢者の知恵> 2005年05月06日 16:36
大西さん、こんにちは!毎日、レベルの高い投稿を読ませて頂き、とても勉強になります。中国が世界の工場ではなく市場となった今、世界経済に与える影響は、我々の想像以上に大きいようですね。チャイナ・リスクは今回、日本だけではなく欧米諸国も強く感じたことでしょう。中国政府も事の重大さを認識していなかった様ですね。反日問題は株式市場に多大な易経を与えるので、一段落してくれて助かりました。



