朝日新聞に「ネット社会 もろさが露呈した」という社説がでていました。トレンドマイクロ社のウィルス対策ソフト問題を取り上げ、「ネット社会のもろさをよく知ったうえで、パソコンを使いこなす。その大切さを今回の事件は教えてくれる」と書いてありました。
しかし、もろいのはネット社会だけだろうかとふっと思ってしまいました。いまや、普通の身の回りにある製品の多くもソフトの固まりの時代になってきており、ちょっとしたバグで、ある日突然動かなくなってしまう、車だと暴走してしまうことだってあり得る時代です。しかも故障原因がユーザーにはすぐにはわからなく、また対処もできないと言う点でもPCの世界とよく似た時代になってきているのではないでしょうか。
確かに、ウィルス対策ソフトの場合、更新頻度が多いということがあります。普通のモノの世界では、今のところそうたびたびソフトを更新するわけではありません。だから今回のトレンドマイクロ社のように後からネットを通してバグのあるソフトが入り込んでくるのか、そうでないのかという違いはあるでしょう。しかし、それもやがて同じような世界がやってきます。情報家電の世界です。
そういった近未来的な社会でなくとも、携帯電話も、デジカメも、テレビも、自動車も、新幹線もすでにソフトの固まりなので、激しい開発競争のなかで、十分にバグの検証がしきれず、ソフトバグによるトラブルが増加してきているのが現実なのです。日経ビジネス2005.4.25-5.2合併号でも特集が組まれています。
製品が高度化すればするほど、ソフトの役割が増えてきますが、「ソフトの開発労力はソフトの規模の3乗に比例する」といわれているようですが、どんどんソフトの開発に負荷がかかってきています。こういったモノへの組み込みソフトの市場は、すでに45兆〜50兆円と、日本のGDPの10%に規模にまで達しているといいますから、もう基幹産業といってもいいのかもしれません。
どんどん製品が高度化し、それらへの組み込みソフトが複雑化すればするほど、身の回りのものにも、ソフトのバグが潜んでいて思いもかけないトラブルが起こっても少しも不思議でない社会になってきているということです。
この社説のなかで、こんなくだりがあります。

今回はプログラムにミスがあったうえ、テストをせずに流すというずさんさが重なった。早く製品をつくることが優先され、品質を確かめることが二の次になったといわざるをえない。こんなことでは、安全対策のメーカーを名乗る資格はない。

この「安全対策メーカー」を「命を預かる自動車メーカー」に置き換えてみればどうでしょう。あるいは携帯電話、テレビ・・・どれでも成りたつ社会になってきたのではないでしょうか。


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