光ファイバーやADSLの通信効率をあげ、伝送能力を高める技術を大阪大学の村田教授とNECで開発したという記事が日経にありました。現在はいくら高速な通信回線でつないでも、実際にそれだけの速度がえられるわけではありません。
通信の混雑状況を監視して、空いた時間の間隙に大量のデータを送るという調整で、二倍から十倍の速度になるそうです。通信では欧米諸国、また韓国などに遅れをとっていた日本でしたが、今や、ブロードバンドの普及や通信料の安さといったインフラで世界のトップクラスになってきました。さらに、こういった通信速度を最大限引き出す技術も登場し、映画や番組を配信する物理的な環境はどんどん整ってきています。しかし問題はそこに流すンテンツです。配信するコンテンツが確保できるかということですが、ライブドアのフジテレビとの提携がうまくいかなければ、当面は相当厳しくなってくるように感じます。立派な設備はできたが、中味がないという箱モノ行政と同じまちがいが、インターネットの世界でも起こってきそうです。
ネットによる配信は、双方向性が加わって新しいビジネスモデルが生まれるのではないかという見方がありますが、どうでしょう。違うような気がします。双方向性も魅力のひとつでしょうが、地上波デジタル放送でも実現できるかもしれません。野球の中継でさまざまな角度から撮っているカメラを選んで見ることができるといったメリットでしょうか?それもビジネスとしてはあまり魅力を感じません。

切り込み隊長ブログで、
「昨年7月ごろをピークに韓国ドラマのネット配信事業の売り上げが急減速。本格的にブームの終焉が見えてきたようだが、韓国系コンテンツの配信需要が激増したお陰でインフラを積極的に整備してきた配信業者が頭を抱えているらしい・・・業界的に見れば、韓国ドラマを見たい、しかしレンタルビデオにはない、だからネットで有料視聴する、という層が、韓国ドラマをきっかけとしてほかのコンテンツもお金を払って見るようになれば市場が拡大するのではないかと考えてきたが、どうもそういう方向には逝ってないのかもしれない」とか書かれていましたが、その通りだと思います。そういったネット配信ビジネスは、従来のDVD販売となんら変わりません。コンテンツの旬が終われば失速します。当然です。

ネットによる配信ビジネスの成功の鍵はなんでしょうか。コンテンツの種類の豊富さだとと思います。どれだけ豊富な種類のコンテンツを提供できるかです。
アマゾンなら、普通の書店では店頭にないような本も買える、それ同じことを映画や番組といった映像の配信で実現できるかどうかです。特に番組です。映画はレコードレンタル店で、かなりの種類のものを借りることができますが番組はそうはいきません。圧倒的な量の、たとえば数年分のフジテレビの番組から気に入った番組をネットで自由に買うことが出来ればマーケットもビジネスも大きく変わってくると思います。
放送の時代は、視聴率で番組の価値が決まります。視聴率は、ある瞬間にどの番組が見られたかと言うシェアです。しかしネット配信になると違ってきます。長い期間のなかで、何人が見たか、あるいは購入したかという累積です。これはビジネスで考えると決定的に違います。
きっとこれまでマイナーと思われていた番組が、案外売れるのです。マイナーで再放送されない番組が予想以上に売れ、視聴率の高かった番組が予想外に売れないのです。ネットの世界の特徴として注目されはじめてきロングテールという現象がきっと思ってきます。
リアルな世界では、一般的に二割の商品が八割の売り上げを稼ぎます。いわゆる「パレートの法則」がきいてきます。それは売り場に置いておけるかどうかという淘汰とか番組ならどれだけいい時間に放送できるかという時間帯の淘汰があったからです。それをインターネットは変えてしまいました。残りのマイナーな八割の商品の売り上げがどんどん大きくなってきたのです。今ままでは「しっぽ」としてカットされてきたものがいきなり主役に躍り出てくるのです。それがロングテールです。
ライブドア問題で、ビジネスに新しさがないと批判していた人たちはこのインターネットの特徴を軽視しすぎているのではないでしょうか。

たとえば、横山やすしの漫才を見たいと思っても、「放送」の世界では、いつなんどき再放送されるのかわかりません。料理番組を見てから今夜の夕食メニューを考えたいということを放送は提供してくれないのです。
もちろん、圧倒的な量のコンテンツをそろえるためには著作権の問題をクリアする必要があります。しかし、それもやる気があるかどうかだけです。しかも、このビジネスモデルがいったんできると、そうそう簡単には真似できません。ひょっとすると海外のコンテンツも飲み込むことだって出来るかも知れません。
こういう視点で見ると、ライブドアがフジテレビとの提携にこだわり、安定的な提携を保証する株の保有を考えることは、なんら不思議なことでもありません。きっと同じ事をソフトバンクも、楽天も考えていると思いますね。また放送局の経営者も案外分かっているのかもしれません。しかし、今の「放送」は儲かるのです。儲かるビジネスにわざわさ新しいことはしたくないというのが放送局の気持ちでしょうね。
ライブドアとフジの提携が不調に終わって、なんらかの新しいことが起こってくれるのでしょうか?起こらなければ、日本のコンテンツ産業が大きく育つチャンスは当分来ないかも知れません。総務省も経済産業省も、将来を見据えて、しっかりフジテレビを指導してくださいね。

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