高裁の裁定で、ニッポン放送の経営権が事実上ライブドアに移りましたが、フジテレビ側は、ライブドアのフジテレビ支配を避けるために、ニッポン放送の持つフジテレビ株をソフトバンク・インベストメントに預けるという緊急避難策にでました。その裏に孫さんの影がちらつくということもあって、マスコミの火種となってしまいました。
このことが、裁判で違法ということにでもなれば話は別ですが、これでフジテレビの経営支配をめぐる攻防は5年間は塩漬け状態になります。ライブドアがどのような行動にでるのかが注目されるところですが、ここからは派手な争奪戦というよりは、フジテレビとお互いにとって実のある提携ができるのか、またニッポン放送をどのように立て直せるのかという本当の経営者としての実力が堀江さんに問われてくるのだと思います。


特に問題はニッポン放送です。AM放送は災害時以外は社会的な存在意義が低下してきています。ニッポン放送の営業収益は、平成13年3月期決算の318億円から下降しつづけ、平成16年3月期には308億円になりました。ラジオ広告市場そのものが衰退しはじめているだけに、今後、ラジオ放送事業で、営業収益が増える見通しはありません。
サントリーが新番組からスポンサーを降りると言う話や、タモリなどのタレントが降板するという話も、もはや広告媒体としての魅力も、またビジネスとしてうまみがなくなったというだけのことでしょう。それにしても、ニッポン放送はこういった人たちの巣窟だったんですね。やはり時代に乗ったメディアとはほど遠いという印象を受けました。
しかし、ライブドアに経営権が移ると、もともと潜在的にあったそういった流れは当然促進されてくるでしょう。いい口実になり、ニッポン放送の放送事業の凋落が加速化されることが当然想定できます。
AM放送そのものは、すでに事業としても魅力がないとすれば、残っているのは、番組やイベントをつくるノウハウや体制、あるいは広告代理店とのつながりでしょうが、それらをどこまで活かせるかです。フジテレビとの提携は、相手があってのことであり、どうなるのかはわかりませんが、フジテレビ側も急いで話を進めようとはしないでしょう。

どういった手を打つにしても、ライブドアの堀江さんが、どんどんマスコミに登場して話をするというスタイルからどう脱皮できるかが案外重要だと感じます。自社の株価を上げるためにとってきたスタイルでしょうが、実際に事業を経営したり、構築していくためには内部の体制をきっちり固めながらやっていく必要があります。
なかなかタレント化するということとは両立するのは困難ではないでしょうか。フジテレビとの提携でもそうでしょう。いくらテレビで呼びかけたってしかたがないでしょう。フジテレビに花を持たせるぐらいのしたたかさがないと実際には進まないのではないでしょうか。


名経営者が、なぜ失敗するのか?


それに、そろそろ、そういったスタイルから脱皮しないと事業家としては誰も見ないし、信頼もしないでしょうね。以前、シドニー・フィンケルシュタイン著の『名経営者が、なぜ失敗するのか?』に書かれている「失敗するトップの7つの習慣」を、このブログで取り上げたことがあります。
その中に、「会社の理想像にとらわれ、会社の”完璧なスポークスマンになろうとする”というのがあります。具体的には「ニュービジョンを売り込む」「ポップ・アイドルになってしまう」「細事にかかわることを嫌がる」「財務報告書をPRツールに使う」といったことが取り上げられています。
つまり、イメージや話題をつくることに注力するあまりに、実際の現場がおろそかになってしまい失敗してしまった事例があるという警告です。そんな危うさを堀江さんには感じてしまいます。
まだ堀江さんは若く、いくらでも変化していくことのできる年齢だと思います。ここで一皮めくれれば、希有なパワーをお持ちなだけに先々が楽しみになってきます。
またフジテレビ側も、防衛への執念も、いいかげんにしておかないと、一部の週刊誌で取り上げられていますが、よほど内部におかしなことがあるのではないかと疑われてしまいます。
泥仕合は、両社に決していいことはありません。はやく建設的な話し合いをやって、リスナー、視聴者、またインターネット利用者にとってウレシイ事をやって欲しいものです。

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