松下電器がジャストシステムのヘルプ・アイコンが特許を侵害しているとして提訴し、東京地裁がジャストシステムにソフトの製造・販売差し止めと在庫の廃棄命じたことに対して、多くのブログで怒りの声が上がっています。
松下電器の知財部門(特許など企業の知的財産を管理する部門)としては、してやったりということでしょうが、松下電器の企業イメージを大きく損ねる事件となってしまったように感じます。
『ATOK』は、マイクロソフトのIMEよりお利口さんなので使っていますが、『一太郎』は使っていないので、問題となっているアイコンは、ユリウスさんのブログ「もの言う翔年」「これが特許侵害? -一太郎のアイコン-」でお確かめください。いつもは冷静なユリウスさんまで怒らせてしまったようです。
松下電器が、液晶分野などで顕著なアジアの国々、特に韓国の追い上げに対して、特許による防衛、また製造工程を見せないというブラックボックス化を進めてきた流れがありました。これは当然だと思います。そのなかで、知財部門が強化され、対象範囲が広がり、今回の事件にもなったということでしょうが、知財部門の暴走としか思えないですね。
実際に、あの程度のアイコンの機能が特許として成立するものなのかについては、研究しないと判断できかねますが、しかし、販売停止や在庫廃棄を求めた松下電器、またそれを命じた裁判所の常軌を逸した判断は非難されて当然だと思います。
このところ奇跡的な業績回復と、プラズマで快走し、企業イメージもよくなってきた松下電器だけに、ユーザー感情を逆撫でしてしまったことは企業にとって大きなマイナスでしかありません。
いま、デジタル家電は日本の経済を牽引する産業であり、松下電器は、そのリーダーの一員であるはずです。もっと大人の判断をしてしかるべきでした。企業は、市民企業として尊敬され、愛される企業でないとやがて人びとは離れていきます。
そういえば、ついこのまえ、ソニー・コンピュータエンタテインメントの久多良木社長がPSPのボタンの動作不具合に関して、「これは僕が作ったもので、そういう仕様にしている。明確な意思を持っているのであって、間違ったわけではない。世界で一番美しいものを作ったと思う。著名建築家が書いた図面に対して門の位置がおかしいと難癖をつける人はいない。それと同じこと」(日経ビジネス)という発言がありました。何を自分に酔っているのだろうかと反感すら感じてしまいます。「独創」ではなく「独善」にしかすぎないと言われてもしかたないことです。ほんとうにSONYさんもどうなってしまったのでしょうか。残念で仕方ありません。
松下電器もSONYも、一企業という立場を超えた社会からの期待を背負っている企業です。生産者は奢ってはいけません。「お客さまこそが神さま」という精神を片時も忘れないで欲しいものです。

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