消費動向に関して、よく百貨店の売り上げ動向がひとつの指標として記事になることがありますが、いつも違和感があります。いったい百貨店の売り上げ動向が、消費動向の参考になるのだろうかという疑問です。日経記事によれば、「2004年の百貨店売上高は7兆8000億円程度と、1988年以来16年ぶりに8兆円を割り込んだもよう」だそうです。百貨店はもはや斜陽産業です。斜陽産業の数字で景気動向を語られたら暗くなるばかりです。
百貨店もいろいろターゲットを変えたり、小さな工夫はなされているようですが、典型的な斜陽産業の道を歩み出したように感じられます。斜陽産業化してくると、大きく業態やコンセプトを変革する元気すら失ってしまうのですね。
1991年に9兆7000億円に達した後、百貨店の売り上げは、「前年割れは新設を含む全店ベースで7年連続、既存店ベースで8年連続」であり、このままいけば、来年にはコンビニエンス・ストアにも抜かれる可能性がでてきたそうです。
多くの人にとって、百貨店でショッピングするというのは、普通ではなくなってしまったように思います。朝の開店前の入り口前の風景がそのことを物語っているようです。まるで老人会の催しがあるかように、お年寄りの方々が開店を待っていらっしゃいます。
元気なのは地下の食料品売り場と飲食フロアぐらいでしょうか。食料品売り場は、買い手としては珍しい食材が手に入ったり、美味しいケーキが買えたり楽しいのですが、経営感覚に切り替えて考えると、あれだけ高い地価の立地で食料品はないだろうと思ってしまいます。
付加価値の高い商品といえば、高級ブランドがありますが、一時は、百貨店のなかで燦然と輝いていました高級ブランドも、ほとんどは自前の大きな店舗を構えるようになりました。
今や百貨店のメリットは売り場が空いていて、のんびり買えることぐらいでしょうか。しかし実際に何かを購入するとレジの時間が異様に遅いのでイライラさせられます。快適な買い物を完結させてくれません。売り場をメーカー任せにして、自らのマーケティングや、マーチャンダイジングを考えると言うことを怠ってきたツケが来ているように感じます。
しかし、考えても見れば、都市部の非常にいい立地に大きな売り場面積を持っているのも百貨店です。その資産価値は極めて高いですね。いっそ廃業してまっさらにすれば、結構魅力的な都市型のショッピングセンターが誕生しそうです。「百貨店」という既成概念を捨てれば、人が集まる楽しそうな空間はいくらでも浮かんできます。しかし、そういった思い切った発想ができないのも斜陽産業の悲しい性です。
日本の規制緩和は、日本を元気にするものはなかなか進みませんが、グローバリゼーションという名のもとに、外資にとって有利なものはどんどん進んできています。もうすぐ、株式の交換によって、株価が高い外資系企業がつぎつぎに百貨店をまるで濡れ手に粟のように買収するという事態も十分に考えられますね。
きっと百貨店も「百貨店」という業態を捨て去ったときに再生が始まるのではないかと思います。さあ、捨て去ることができるのでしょうか。

おひとり、おひとつのクリックが元気の素です。よろしくお願い致します。(^_^.)