伊丹空港に着陸する飛行機は、普段は奈良方面から生駒山頂を抜け、高度を下げながら、大阪市内上空を通って、豊中市を横切り、空港に向かうコースを辿ります。この着陸飛行する様子が自宅のマンションのベランダから見えます。夕刻のラッシュ時には、着陸しようとする飛行機の後に、別の3機が追いかけるように飛んできます。まさに空のラッシュです。
伊丹空港は、もともと環境問題を抱えている空港ですが、規制緩和を行ったために大型機が飛ぶようになり、どんどん不便な関空からシェアを奪ってきました。国土交通省の路線別輸送人員数を見ると、東京-札幌が925万人でトップ、次に、東京-福岡が826万人で第二位、東京-伊丹が601万人で第三位です。この3路線のなかでは座席利用率がトップとなっています。朝夕のラッシュ時に限らず、満席状態が多いという実感とも一致します。

国交省は、関空二期工事の予算を取るために、財務省の要求で、伊丹の発着枠を減らし、国内線も伊丹から関空へシフトする絵を描いていますが、果たして絵に描いたようにいくでしょうか。それは羽田の便数を減らして、国内線も成田へシフトするようなものです。昨日の日経の夕刊で、ビジネスマンを対象にした面白いアンケート結果が掲載されていました。

インターネットには掲載されていないようなのでご紹介します。
日経の独自に行ったアンケート調査ですが、伊丹の国内線を関空に移した場合、現在の伊丹空港利用のビジネス客のの65%が「新幹線利用に転換」するという回答で、それでも関空便を使うという人は、19%にすぎません。羽田からのビジネス客では74.3%が新幹線利用にすると答えています。実感の通りの納得できる結果です。

実際、よほど空港の近くに住んでいない限り、伊丹ですら、ドア・ツー・ドアでは、東京-大阪間の移動は新幹線と1時間の差はありません。場所によっては30分の開きもでません。ビジネスタイムはいつも満席。予約がめんどう。待ち時間があるということで、週に一回以上は東京-大阪を往復していますが、いつも新幹線を利用しています。

関空になると新幹線のほうが早くなります。誰がそんな空港を利用するのでしょうか。よほど関空に近い人だけです。
もっと面白い結果は、これは今朝の近畿経済面に乗っていましたが、関空第二期工事について、「延期、中止すべき」が、近畿圏の回答では、ともに32.1%で、6割強が難色を示しています。中止が30%を上回ったのは、全国8ブロックで近畿だけだそうです。「予定通りに」という回答の32.3%も、全国平均の34.3%を下回っています。関空は、地元に嫌われていると言う結果です。

国際線の需要は、どんどん高まっていきます。増えていくのは、人の移動だけではありません。情報の鮮度が求められるもの、たとえばファッションも世界同時発売であり、輸送は航空貨物です。航空貨物の需要も高まってきます。成田も余っている国内線の発着枠を国際線に振り向けるといったことで対応しようとしていますが、限界となるのもそう遠い時期ではないと思います。
日本の国際線をどうするのか、そのための投資をどうするのかというビジョンがないままに、国内線のやりくりで辻褄あわせをしようとするから、利用者からの反発がくるのではないでしょうか。
航空政策もきちんと筋を通してやらないと、すでにアジアからも国際線については遅れぎみです。やがてそのツケが回ってくるような気がします。

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