2012年01月27日

iPhoneがアンドロイドを逆転した理由

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米国で、昨年10〜12月期のスマートフォン市場シェアでiPhoneがアンドロイドをわずかながらも上回りました。iPhoneが44.9%、アンドロイド勢は、44.8%でした。アンドロイド勢の伸び、とくにサムスンの伸びが著しく、それに押されっぱなしに見えたiPhoneですが、一挙に倍近くシェアをあげ、アンドロイドの優勢をかき消したことになります。これだけの短期での逆転は劇的です。

問題は、なぜiPhoneが、なぜそれほど一挙にシェアの奪還を行えたのかです。iPhone4Sが画期的だったからでしょうか。いやそうではないでしょう。あるいはジョブズが亡くなり、あらためてiPhoneを生み出したイノベーションの功績が認識されたからでしょうか。

いずれもが影響しているとは思いますが、思い起こしていただきたいのは、昨年はアップルが通信キャリアに対する政策を大きく変えた一年でした。日本でも、auがiPhoneを売り始め、ソフトバンクの独占販売が崩れましたが、それに先立って、米国でもそれまでのAT&Tの独占販売体制から、年初に通信キャリア最大のベライゾンがiPhoneの販売契約を結び、さらに三番手のスプリント・ネクステルが販売契約を結びました。

なんとそのベライゾンの10〜12月期の決算によると、同期に売った770万台のスマートフォンのうち、iPhoneが420万台を占めたといいます。つまり55.4%がiPhoneだったのです。
iPhoneが「Android全部」を上回る:米Verizon社の販売 WIRED.jp 

もちろん新製品の発売効果も加わったとしても、同じ通信キャリアで売れば、iPhoneのほうが売れるということです。

iPhoneの逆転劇は、重要なマーケティングのヒントを見せてくれています。競争で、目に見えやすいのは、製品であったり、販売数量や金額での市場シェアであったりします。そしてアンドロイド勢、とくにサムスンは、アップルに「追いつけ追い越せ」の競争原理です。製品でライバルよりも高い品質や機能、また価格で勝つという発想です。日本の情報家電がその原理で動き、世界を制したものの、やがて韓国、中国に同じ原理で敗北してきました。

しかし、アップルの戦略を、よくよく見てみると、一貫してアンドロイドをライバルとしたものではないことが見えてきます。ではアップルはなにと闘ってきたのでしょうか。

製品のコモディティ化です。同じ土俵で競争する限り、製品間の差はしだいになくなり、価格での競争に移ってきます。だから、アップルは需要>供給の関係を保ってきたように思います。供給が大きく上回ると、一挙に価格の下落がはじまり、コモディティ化の地獄、市場のレッドオーシャン化が進み、どの市場のプレイヤーも利益がだせなくなってしまいます。液晶テレビがその悪循環にはまってしまいました。

スマートフォンの定義を塗り替え、その市場を育てるために、アップルは本気になって売ってくれるややマイナーな通信キャリアに独占販売をさせてきました。アップルが追求してきたのは、販売シェアではなく、ブランド価値であり、通信キャリアに対して支配力をもつこと、さあに利益をあげることだったと思います。まるで経営やマーケティングの教科書のような戦略をアップルはとってきたのです。しかしその教科書にでてくるような戦略がこの分野では画期的でした。

しかし、恐らくアップルの想定以上の勢いでスマートフォン市場が成長したために、需要と供給のギャップが大きくなり、そこにアンドロイドが入り込む余地が生まれました。だから販売量を追及するプレイヤーの揃ったアンドロイドは急速に伸びました。しかしアップルが販路を広げたとたんにそのギャップは解消され、大きくシェアも伸ばす結果になりました。

つまり、これらの点で3つの教訓が見えてきます。

まずは、もっとも怖いのはコモディティ化であって、売れるから造る、ライバルと同じ土俵で競争すれば、やがて供給過多になり、コモディティ化の罠にはまってしまうことです。おそらく数年後、10年以内に、スマートフォンもいきつくところまで普及します。そうなると待っているのは、低価格品しか売れない新興国しか販売を伸ばせる市場はなくなり、また供給過多になってしまうことは間違いありません。


第二に、製品もブランド価値を高める重要な役割をもっているとしても、長い目で見た競争では、製品よりはブランド価値のほうが重要だということです。スマートフォンの競争は製品よりもさらに上位のブランド間の競争なのです。もちろん音楽コンテンツやアプリを供給するプラットフォームの質もブランド価値を左右しています。


第三に、ビジネスは製品間の競争や、市場シェアの競争よりも、買い手や売り手との力関係での競争に移ってきているのです。アップルはその力関係で有利な立場を追求してきたために、圧倒的に利益率が高いのです。
ブランド力があるから、売りやすい、だから通信キャリアは喉から手が出るほど扱いたかった、しかし取扱うためには驚くようなノルマが課せられるのです。米国の通信キャリア、スプリント・ネクステルとの契約は驚くような厳しい内容でした。

利益を重視し、直接競合を避け、ブランド価値を追求し、市場の支配力を高めてきた結果、2011年でなんとアップルの手持ちのキャッシュがさらに380億ドル(およそ3兆円)増え、ついに976億ドル(7.5兆円)にまで達したのです。

スマートフォンにしても、タブレットPCにしても技術の変化の激しい分野なので、このままアップルの快進撃が続くとは限りませんが、この体力差はじわじわと効いてくると思います。

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2012年01月26日

戻ってきた中国語

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今朝、大阪のホテルで勉強会がありましたが、ロビーにいた若い女性たちの会話が中国語でした。ブランドのホテルのひとつに泊まっていることと、言葉を聞かないと日本の女性と見分けがつかなくぐらい服装にもセンスがあることから察するに、おそらく富裕層の人たちなのでしょう。

観光地に行けば、以前は当たり前のような光景でした。有名な観光地だけでなく、結構穴場だと思う観光スポットにも中国人の姿があり、中国語の会話が聞こえていたものです。それが福島第一原発事故以降には放射能汚染への不安から来日を敬遠され、あまり姿を見かけなくなったのですが、戻ってきているようです。

政府の観光局のニュースリリースを見ると、中国からの観光客は、昨夏以降徐々に回復し、昨年11月からは前年比で3割台の大幅な増加に転じ、過去最高を記録しているといいます。放射能汚染への不安がなくなったことと、おそらく富裕層だけでなく、中間層へも広がりを見せてきているのでしょう。
2011年 12月推計値 11年10月暫定値 (平成24年1月20日発表)PDF資料

全体としても、来日客は回復傾向にありますが、さすがに韓国はウォン安で、円高の日本への観光は高くつくために落ち込んだままのようです。

訪日客数推移

観光のメッカともいえる京都の地元紙の京都新聞によると、長期休暇のとれる春節を迎え、「震災前は中国人観光客の来場が約7割を占めていた西陣織会館(上京区)も、一時は激減したが、先週末から大幅に増えている。バスツアー客が多く、着物ショーは満員で、震災前と同様のにぎわいをみせている」そうです。そういえば、京都のお店で着物姿の若い女性のグループがいて、京都らしくていいなと思っていたら、なんと会話が中国語で驚かされたこともありました。まさに「京都を体験するツアー」なのでしょう。

このところ、貿易赤字がでたことで、いろいろ懸念する声もありますが、野口悠紀雄教授も指摘されているように、それは当然の流れであり、また日本が貿易立国でありつづけることは構造的にも無理になってきているので、産業のサービス化にむけて日本が大きく舵を切っていくことが迫られているのだと思います。観光産業の振興もそのなかのひとつだと思います。
貿易赤字の定着は 経済危機後の「ニューノーマル」の表れ|野口悠紀雄の「経済大転換論」|ダイヤモンド・オンライン :


貿易収支の赤字化にしても、円高にしても、その数字だけで考えても、ああだこうだと永遠に結論のでない神学論争みたいなことになってしまいます。そろそろ中味から考え、中味を変えることからはじめたほうがいいのではないかと思います。鉛筆ナメナメ、昨今ではパソコンのキーボードを叩きながら考えるだけでは、なかなか現実は見えてこないものです。

中味から考え、中味を変えるということは、現場から考えること、現場を変えていくことです。現場からの改革の波が、制度疲労してしまった日本を再び元気印にする最大の鍵になってくるのでしょう。より現場に近いところから変えていくことでは、地方主権への動きもそのひとつです。

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2012年01月25日

店舗がネット販売のショールーム化して売れない、そんな時代が近づいてきた

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米ディスカウント大手のターゲットが、緊急書簡で競合他社との差をつけられる特別商品を作り、価格の比較から守るように仕入先に要請したようです。「購入者が店舗に来て商品を手に取るものの、その場では買わずに競合のオンライン店舗でより安く購入するという動き」(ウォールストリート・ジャーナル)というか、実物はターゲットとかベストバイやウォルマートで見て、実際にはアマゾンで購入する客が増えてきたことへの対抗でしょう。

日本でも、製品は店舗で確かめ、実際に購入するのはインターネット通販だという人は増えているのではないでしょうか。リアルな店舗を展開する企業とリアルな店舗を持たないインターネット通販の企業の、異なったビジネスモデル間の競争は確実に起こってきています。
店舗がネット販売のショールームになる危険性 - WSJ日本版 - jp.WSJ.com :

そうなると、リアルな店舗で商品の実物を展示し販売している小売業はたまったものではありません。店舗をつくるためには投資しなければならないし、運営にも経費はかかってきます。せっかく経費をかけても、商品を確かめるだけで、実際に買われるのがオンライン店舗というのでは、庇を貸して母屋を取られる状態になってしまいます。来るべき時が来たということでしょう。

経産省の「平成22年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子取引に関する市場調査)」の推計では、1910年の消費者向けの電子商取引の市場規模は、前年の116.3%の7兆7,880億円に達したようです。やや成長が鈍化傾向にあったのですが再び大きく伸びたことになります。

数字だけではちょっと想像がつかないので、参考までにどれぐらいの規模かというと、百貨店の年間売上高はこのところ7兆円を切っており、また差がついたことになり、コンビニの年間売上高8.5兆円、スーパーが12.7兆円に追いつく勢いで伸びてきていることになります。セブン&アイ・ホールディングスの売上高が5.1兆円、イオンが4.5兆円なので、すでにネット通販全体ではそれよりは大きい売上規模になっており、あなどれません。

伸びているのはコンビニとネット通販ですが、消費そのものは伸びていないために、実際には顧客の争奪戦になってきています。そして、ほんの数%の顧客を奪われるだけでも、ダメージが大きいことは言うまでもありません。ナショナルブランドを並べて売っているだけでは、やがて顧客がじわじわとネットに流出していくわけで、そこでしか買えない、あるいはそこで買うことがより満足できるサムシングを開発するしかありません。ネットとの価格競争から回避する小売業のイノベーションが求められてきているということでしょう。

ほんとうなら、リアルな店舗を持つ企業も、ネット通販でもっと販売を伸ばせばいいのですが、相性が悪いのか、オンラインストアを強化するとしたウォルマートも大苦戦している状況です。おそらくオンラインストアで求められることと、ウォルマートの意識のずれがあるのでしょう。
店舗からネットへ、事業改革を目指す米ウォルマートのいばらの道:日経ビジネスオンライン :

日本の小売業は、概して、店舗数を増やすことで売上を増やすという方程式で伸びてきたために、ビジネスのイノベーションに遅れ、欧米と比較すると、利益率も低いところが大半というのが実態です。いよいよビジネスそのものの価値を再構築する時代にはいってきているに違いありません。

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2012年01月24日

格付け会社を格下げしろと怒るフィナンシャルタイムズ

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ギリシャを端に発するソブリンリスクに揺れるヨーロッパ経済ですが、それとともに再び格付会社の格付けがニュースでよく取り上げられるようになりました。正直言っていい加減うんざりさせられます。なぜいまだにまともに格付け会社が取り上げられるのかを不思議に感じていたのですが、フィナンシャルタイムズが厳しい批判記事を書いています。
格付け機関を格下げしろ :

記事の冒頭が、格付け会社を責めるなといわれるが、疑問に感じるというくだりからはじまっていますが、ほんとうに、世界の注目を浴びたいがための格付けなのかと感じさせられることが多く、その格付けをまともに取り上げたり、真面目に報道されることには疑問を感じます。

ロイターも、「市場が敏感になっている時期にギリシャやイタリア、フランスの国債を格下げすることでユーロ圏債務危機を悪化させたとの批判が各国政府から出ている」とし、「イングランド銀行(英中央銀行)のタッカー副総裁は23日、銀行や資産運用担当者は自身の信用状態を自ら判断し、格付け機関への依存を避けるべき、との考えを示した」と報じています。
金融機関は格付け会社への依存を避けるべき=英中銀副総裁 :Reuters :


S&Pなどの米国の格付け会社は、とんでもない住宅ローンの不良債権にもトリプルAの格付けを無節操に行い、それが金融崩壊の一因となったわけですが、その時点で市場からは立ち去るべき存在だったのではないかという思いがします。その格付けのメカニズムは、子供が聞いても呆れるようなほんとうに馬鹿げたものでした。それ以外にもエンロンやワールドコムにも投資適格級格付けを与えていたという前科があります。

フィナンシャル・タイムズは、一連の格下げの後に借り入れ金利が若干低下したのは印象的だとし、S&Pが政治力学の変化を見落としていると指摘していますが、EUの委員からも、時事通信とのインタビューで格付け会社に関しては「透明性や競争性を高める必要がある」と牽制球を投げているのも、やはり格付け方法に疑問を感じるからでしょう。

EUが金融危機をどう乗り越えようかとやっきになっているところに、冷水をかけるどころか、マッチポンプを仕掛けたら当然反発もでてきます。自らの存在をアピールするためにソブリンリスクを利用しているのではないかとなるのです。政府からの資金注入を受けながらとほうもない報酬を受け続けた経営者のひとたちと同じ質のモラル・ハザードを感じます。

投資家が格付け会社にリスクの評価を求めることをやめない限り、金融の世界では生き残るのかもしれないとしても、政治やマスコミが相手にしなければいいのですが、こちらも「危機を煽っていくらの世界」だという人たちもいて、相性がいいのでしょうか。

日本も財政問題を抱え、すでに格付けランクは落としていますが、いずれかの時点で突然国債が売れなくなるということもありえない話ではありません。そうなると、利率が急上昇し、日本の財政は大変なことになります。

自らの存在を印象づける絶好の好機だと判断したときに格付け会社が引き金を引くのでしょう。その情報に反応して、相場をはっているトレーダーたちがデリバティブを使い、国債を売り浴びせることも充分にありえることです。トレーダーの世界は、経済がどうのこうのということとはまったく関係なく、ほんのささいな情報でも、市場が反応すると判断すれば、ひたすら利益を得るための勝負をしかけてきます。

日本も、いつまでも脳天気にやっていると、こういった仁義なき金融の世界の住人たちの餌食になりかねず、それを思うとぞっとします。国会の増税派にしても、増税反対派にしても、まだまだ選挙、党利党略が優先していて、財政再建に対しては考え方が甘いんじゃないか、もっと踏み込んだ改革が必要だと国民の多数は思っているんじゃないでしょうか。

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2012年01月22日

余部橋梁、まだ明治と平成が並んでいた

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余部鉄橋に最後に訪れたのはいつだったのかと思って自分のブログを検索すると、新しい橋に替わるほぼ一年前、2007年の9月でした。
大西 宏のマーケティング・エッセンス : マンションなら12階分を歩いて登り降りる駅 - ライブドアブログ:

どう変わったのかと再訪してみると、古い橋梁がわずかに残っていました。人気の高かった古い橋梁ができたのは明治45年。新しい橋梁は平成で、ふたつの時代の技術が対照的に並んでいます。

古い橋梁はアメリカの橋梁設計の専門家のアドバイスを受け、鋼材をドイツから輸入して建設した、国境を超えたプロジェクトだったようです。その姿に人気は高かったのですが、昭和の時代に起こった余部鉄橋列車転落事故が橋梁の架替計画につながったのだと思います。日本海からの強風で煽られ、列車が転落。乗客はいなかったっものの、橋梁真下の水産加工工場を直撃し多数の犠牲者がでた、にわかには信じられない事故でした。

当時は、ノスタルジーがあり、景観がよく、人気の観光コンテンツであった古い橋梁を残すのか、安全性を高める新しい橋梁をつくるのかの悩みもあったのでしょうか。

撮影スポットが違うので比較にはなりませんが、以前撮ったものと昨日撮った写真です。昨日も余部橋梁を見ようと訪れる人はいたので、姿は変わっても人気スポットなのでしょう。古い橋梁を記念に一分残すのか、すべて撤去するのかどちらでしょうね。

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2012年01月20日

消費税ではなく、政治そのものが問われているのです

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消費税をあげることについての直近の世論調査を見ると、反対が急増してきています。昨年までは、さまざまな世論調査で、消費税アップに理解を示す人のほうが多かったのですが、今月行った朝日新聞の調査を見ても、反対が57%と、賛成の34%を大きく上回るようになりました。
消費増税案に反対57%、賛成34% 朝日新聞世論調査 :

政府の説明不足を指摘する声が多いようですが、もちろん現実味を帯びてきたために慎重な意見が増えることがあっても、それ以上に政治への不信によるところが大きいのだと思います。やるべきことを政治はやっていないということでしょう。

消費税のみならず、国民負担率も、海外ではむしろ日本よりも率が高い国が多く、消費税をあげたから経済がだめになるのではなく、むしろ政府や政治への信頼があるのか、ないのかで経済も変わってくるのだと思います。政府への信頼、政治への信頼がないままに、増税にむかうと不満だけが残り、人々の心も萎縮してしまいます。

だから自らの身を切る議員定数の削減や、公務員給与のカットが行なわれようとしているのですが、まだまだ政治と国民の間に意識の差があり、納得が得られない状況です。どう見ても、消費税を上げるための理由を繕うためのものでしかないと感じている人が多いのでしょうし、今示されている程度では得心が得られないということでしょう。

その国民の気持ちに応えるだけの政治が行なわれていないのが残念ながら現実です。昔の名前ででている「自民党」と、「民主党」と看板を変えただけになってしまった「元自民党」の政局争いばかり見せつけられると、当然もっとまじめにやれとなります。
【産経・FNN世論調査】消費税増税、自民党も土俵際 85・5%「与野党協議に応じるべきだ」+(1/2ページ) - MSN産経ニュース:


国民の利益、また日本の国家の将来よりも、権力闘争のゲームをやっているとしか国民には映っていないのです。与野党共にもっと国民の利益に目を向けるべきなのです。マーケティングなら顧客第一主義ですが、政治なら国民第一主義であってほしいものです。言い訳ではなく、信頼を得るだけの発想力や決断、また自己犠牲が求められているとしかいいようがありません。

まさに、自民党の中川秀直先生がご指摘のように要は国民が納得するかどうか、国民の合意をえることが重要な政治課題なのです。そのためにはまずは政治家が変わらなければなりません。今の自民党にそれができるのでしょうか。
国民的な合意形成のためのコストはどう負担するか(中川秀直) - BLOGOS(ブロゴス) :


さて議員定数の削減ですが、日本の国会議員がそれほど創造的で、生産性の高いことをやっているとは思えないので、議員定数を削減してもさほどの影響もないと思いますが、比例区80議席削減だといわれても、さほど身を切った決断だとは感じないのです。いっそ機能が重なってしまい、国会の停滞の原因となっている参議院を廃止ぐらいにすればいいとも思ってしまいます。前者は改善案とするなら、後者は改革案です。

少数政党は議員定数の削減や比例区の削減には当然反対します。議員定数の削減は競争の激化をもたらし、しかも比例区が削減されれば少数政党は選挙で勝てません。だから反対だ、民主主義の根幹を揺るがすと騒ぐのですが、それも説得力がなく、もし生き残りたいのなら、国民の支持を得ることのできる案を示すべきでしょう。野党に対しても、なんら創造的な解決も示せず、ほんとうに存在価値があるのかと国民が冷ややかに見ている現実を直視すべきだと感じます。


しかし、国会議員数で言えば、日本が多いかというとそうでもなく、赤旗によれば、1995年の比較で、人口100万人あたりの議員定数は、イギリスは11.24人、ドイツ8.03人、フランス9.92人など、日本の3.98人ははるかに少ないほうです。しかし、アメリカは州政府の権限が大きい国なので、国会議員は1.65人と日本よりも極端に少なくなっています。
日本は国会議員が少ないから少数精鋭になっているというのならまだしも、現実は、自民党政権時代でも、民主党政権になっても、大臣になるたびに知識や見識のなさが露呈したり、失言を繰り返すのだから、そうともいえません。
日本共産党・知りたい聞きたい/日本の国会議員は世界からみて少ない? :

少数政党も、議員定数を減らすことに対抗して国民の支持をえようとするなら、あるいは比例代表を減らすことに反対を唱えるだけでなく、共産党の主張にあわせて政党助成金廃止、さらにもっといえば国会議員に対する歳費を大きくカットする法案を提出すればいいと思いますね。そのうえで議員数維持と比例代表の拡大を訴えればいいのです。自己利益にもとづく自己主張だけでは最悪です。

また国会議員の人数が多いと民意が反映されるかというと、こちらも怪しいのではないでしょうか。少数政党も与野党ネジレのなかでキャスティングボードを握るぐらいの数をもたなければ影響力はないので、いくら少数政党が生き残っても、かならずしも民意が反映されるとは限りません。国政レベルで、ニーズに沿ったきめの細かな政策を行おうというのは、まだ中央集権型の政府、大きな政府を残したいということにも聞こえてしまいます。

多様なニーズに応えていくためには、中央集権の全国一律平等という仕組みではなく、地方の独自性によって多様な仕組みに変えていかなければ解決しません。国会議員の数ではないのです。

やがて、地方へ権限を移していくということであれば、国会は地方のニーズを吸収するよりは、国として行うべきことに集中すればいいので、すべて比例代表制にしてしまい、人数を大きく減らすのも一手かも知れません。


議員の数の問題よりは、国会議員に支払っている経費のほうが問題の本質かと感じるのですが、Wikipediaで見ると、国会議員数の多いイギリスの下院議員一人あたりの歳出は970万円と慎ましやかで、アメリカでも年額約1700万円だそうです。
歳費 - Wikipedia :

日本の国会議員の場合は、一人あたり年額約2200万円(手当てを含めた総額は約4200万円)はいかにも多いという印象を受けます。世界最高の水準だといわれています。さらに政党助成金がでるのだから日本国民は国会議員に多額の投資していることになります。田中康夫さんの場合なんかは、政党日本の政党交付金を一人占めで、給与、手当を含めると1億8千万円弱を受け取っているので、ちょっと待てよ、それならもっと仲間の議員を増やす実績を示すか、政党助成金を受け取るなよと言いたくなります。

いくら高い経費をかけていても、それだけの働きをしているのなら、国民の不満はないのでしょうが、増税のために、議員定数削減、公務員給与のカットという程度の発想しかないのなら、いい仕事をしているとは感じないのが国民です。


共産党は政党助成金を受け取っていませんが、経済に責任を持たない限り、永遠の野党の限界を背負っているのでしょうし、いっそ「みんなの党」とか他の党でも、政党助成金は自主的に受け取らないという潔さを見せ、自分たちなら、日本の経済や財政をこう思い切った方法で立て直すという展望を示せば、支持率が急上昇するのではないでしょうか。

状況を見れば、少数政党が大きく伸びる機会がやってきているのですが、どこかにその好機を掴んでもらいたいものです。

要は我が身を切ってでも、日本の明日のために貢献するという気迫、過去のしがらみを絶って、将来をどう切り拓くかの信念やビジョンをどう国民に感じてもらうかではないかと思います。既成政党との違いをもっと強力に印象づけ、新しい風を感じてもらわなければ、しょせん少数政党の域をでません。

議員歳費を大きくカットする、そのかわり選挙で思う存分自らの主張を知ってもらうために、インターネット全面解禁でも提案すればと思います。寄付金を集めやすい制度の導入も提案すればいいのではないでしょうか。

いずれにしても、国会議員のみなさまには、大きな志をもって、国民から信頼される政治を実現していただければ、きっと将来を託そうという国民の支持も得られると思うので、よろしくお願いを申し上げたいと思う次第です。


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2012年01月19日

東大の秋入学移行はいいですね

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東大が5年後をめざして、すべての学部の入学時期を春から秋に変更するといいます。いいんじゃないでしょうか。世界の7割は、秋入学だし、もともと明治の頃は秋入学でした。実際大学院を秋入学にして留学生が増えたそうです。右に倣えで、留学生の受け入れ数の多い大学、海外留学生の多い大学は、秋入学にすればいいし、春入学と秋入学で大学の個性を競ってもいいかと思います。

時期をずらしても、就職戦線で人気の高いブランド大学が、秋入学に切り替えて行くと、雪崩を打つように追随する大学も増えそうですが、選択肢が増えるために、それはそれでそれぞれの大学の戦略がうまれ、面白くなりそうです。

ところで、秋入学にすると、すぐさま小学校から高校までが秋入学に変わるわけがないので、入学した学生は、半年のモラトリアムな期間を過ごさなければならなくなります。
バイトしてもいいし、短期留学で語学をマスターしても、ボランティア活動に身を投じても、自衛隊も半年体験コースなどを開けば行けるし、遊びたい学生は遊べばと思います。それこそ我が道は自らの選択で決めればいいことで、プラスアルファな体験ができそうです。

信じられないことですが、ある番組で女性コメンテーターの人が、その間の期間について大学が責任をもつ必要があると言っていました。せっかく半年間、自由に過ごせるのは、いい機会だから、それぞれの学生がどう過ごすかは決めればいいと思いますね。なにもかも与えられる、守られるというのは考えものです。嫌なら違う大学を選べばいいだけです。

就職を合わせると1年を無駄にする懸念があるとかも、企業がなにもしないわけがなく、それはそれで春入社と秋入社を併用して対応してくるのでしょう。官僚になりたい人は、春まで待てばいいだけのことです。
それに官僚も、最初から採用というのはやめたほうがいいと感じます。官僚の常識を身につける前に、一般社会の常識とか、顧客とのやりとりとか、売上や利益をあげる努力とかを学んでから官僚になった方が健全ではないでしょうか。

いずれにしても、みんなが変化に慣れることは、日本がよりしなやかに時代に適応していく体質をもつためには結構大切なことだと思うので、東大につづく大学がでてくることを期待したいものです。

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